Android Weekly Topics

2020年8月第1週今、改めてFitbitを使ってみる(後編)

今、改めてFitbitを使ってみる(後編)

前編ではFitbitの現状をおさらいしたので、後編ではスマートウォッチ向けのアプリ開発環境の現状をみていきます。

Fitbitアプリの開発環境

Fitbitのスマートウォッチ(Ionic、Versa、Versa Lite、Versa 2)向けには、アプリとクロックフェイスが開発できて、Fitbitが運営するアプリギャラリーを通じて配布できます(Androidで言うPlayストアのようなものです⁠⁠。

アプリの開発言語はJavaScriptで、SDKの最新バージョンは4.1です。

SDKのAPIは、スマートウォッチを制御する「Device API⁠⁠、スマートウォッチとFitbitのスマホアプリ間で通信する「Companion API⁠⁠、アプリやクロックフェイスの設定画面を作るための「Settings API⁠⁠、FitbitのWebサービスと連携する「Web API」に分類されます。

たとえば、アナログ時計のクロックフェイスを開発するのであれば、長針や短針の表示制御をするためにDevice APIを使います。心拍や歩数などを盤面に表示する場合もこのAPIを使います。カスタマイズできるように、クロックフェイスの反面の色を変更する設定画面を設ける場合はSettings APIを使います。この設定内容をスマートウォッチに反映するために、Companion APIを使ってスマホで通信します。このように、APIを使い分けて開発を進めます。

開発環境は、Fitbitが提供するWebベースの「fitbit studio」を使います。

また、アプリの動作確認をするために端末シミュレータも用意されており、IonicやVersaシリーズの実機がなくても動作確認ができます。実機での動作確認は、端末のDveloper Bridgeをオンにしてアプリをサイドローディングします。

すべてのアプリ開発ツールは無償で提供されています。

開発者登録のための費用も必要ありません。Fitbitアカウントがあれば、誰でも開発ツールが入手できるので、Webブラウザとやる気さえあれば、すぐにでもアプリが開発できるのは他にない特徴です。

開発の手助けになるリソース

Fitbitは、開発者向けのコミュニティー構築にも力を入れており、フォーラムでは熱心なやりとりがされています。英語でのやりとりですが、Fitbitのメンバーもコミュニティに参加して議論やサポートをしているので、アプリの開発中につまずくことがあれば、まずはここを参照することをお勧めします。

アプリ開発にあたり、なによりもサンプルコードが有益な情報になります。

有志がオープンソースで提供するものがGitHubに公開されています。ソースコードは、クロックフェイスからアプリ、ゲームまで幅広く公開されているので、参考になるものが見つかるはずです。

開発者向けブログも公開されています。

更新頻度は高くありませんが、SDKのアップデートや端末のファームウェアのアップデートがあれば、必ずエントリが公開されるのでチェックすることをお勧めします。

アプリの公開と配布

開発したアプリは、Fitbitが運営するGalleryを通じて配布します。

このGalleryは、Fitbitのモバイルアプリでアクセスできます。アプリのインストールもこのアプリを使います。インストールは、いったんスマホにアプリがダウンロードされた後に、スマートウォッチへ転送されてインストールされます。

公開しているアプリはWebからも確認できます。筆者も2つのアプリと5つのクロックフェイスを公開しており、以下のURLで確認できます。

Galleryには有償アプリも公開できます。

有償アプリの紹介ページには「このアイテムは、お支払いの必要があります。これは、開発者が単独で管理しています。」と説明がされているので、インストール時に判断できるようになっています。

この説明文からもわかるように、Fitbitは集金システムを提供しておらず、外部サービスを使って集金します。Fitbitの場合は、多くのアプリがKiezePayというサービスを使って集金システムを実装しています。

KiezePayでは、Fitbit OS向けのSDKも公開しています。

これは集金システムの実装だけではなく試用期間も実装できます。このサービスを利用する場合は、手数料として販売価格の30%が必要になりますが、自身で実装して集金することを考えれば有償アプリの公開には最善の選択です。

今週は、このあたりで、また来週。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧