前回、安定ベータとしてAndroid 13 Beta 3がリリースされたことをご紹介しました。これの2度目のマイナーアップデートとなる「Android 13 Beta 3.2」がリリースされました。
Googleから修正内容の情報はありませんが、ユーザーが目に付くところでは、以下の修正が確認されています
- Googleフォトアプリが頻繁にクラッシュする
- 一部のアプリで戻るジェスチャーが機能しない
- 一部のアプリで開いた直後にクラッシュする
- マイクがランダムにオン・オフする
Android 13 Betaは「安定ベータ」とされているので、短期間でのマイナーアップデートを揶揄されています。これは、API仕様が決定され仕様が安定したので、新機能を使ったアプリ開発やアプリの動作確認を行えるといった趣旨でリリースされており、ベータ版であることには変わりありません。まだまだ、表面化するバグがあって当然と考えるべきです。
Android for Carsの最新事情
クルマ向けAndroidは、「Android Auto」と「Android Automotive OS」の2種類が存在します。
整理をすると、Android Autoは、これに対応したインフォテイメントシステムを搭載するクルマのディスプレイに、画面を投影して利用するものでスマホベースで動作します。もう1つのAndroid Automotive OS(AAOS)は、自動車に組み込まれるAndroid OSです。
これを自動車メーカがカスタマイズして、インフォテイメントシステムとして自社のクルマに搭載します。これらふたつをまとめて「Android for Cars」呼びます。
Google Automotive Services(GAS)パートナーの製造したクルマであれば、AAOSの要件に対応して設計されたアプリをPlayストアからダウンロードでき、クルマにインストールされて使うことになります。
GASを初耳の方も多いと思います。ざっくり言えば、自動車版Google Mobile Servicesのようなものです。スマホ同様に、自社のクルマでGoogleマップやPlayストア、アシスタントなどをユーザーに提供したい場合はGoogleと連携してGASに対応します。
これまで、こうしたサービスは自動車メーカが独自で提供していましたが、AAOSではGASで一手に引き受けることになります。これを使うメリットは、自動車メーカは、クルマ本来の魅力を高める仕事に集中できるのと、インフォテイメントシステムの陳腐化が防げるところです。とは言え、テスラのようにクルマ全体を統合制御ができるわけではないので、テスラの持つ先進性は揺らぎません。
Google I/O 2020で提供された情報
Google I/O 2022では、Android for Carsに関する新しい情報がいくつか提供されました。
Android Autoに関しては、2021年末から噂されていた画面分割機能に関わる発表が行われ、ようやく現実のものとなります。これは、さまざな画面サイズとアスペクト比を持つディスプレイに対応できるのと、複数アプリ、たとえば、マップとポッドキャストを分割配置して使えるので、いままでとは違った体験になります。
この機能は、夏頃にはリリースされるようです。私のロードスターでも使えるのかわかりませんが楽しみです。
Android Automotive OSでは、停車中のクルマでYouTubeやtubiの動画を車内で楽しむだけでなく、Webブラウズも可能にすることが計画されています。これは、クルマ充電中の時間潰しに使われることを期待しているようです。
提供時期は明らかにされていませんが、Android Automotive OSの採用に積極的な自動車メーカに限り、先行して提供して、この後、幅広く展開していくのではないかとの見方があります。
最後、Car App Libraryを使うことで、Android AutoとAndroid Automotive OSの両方で動作するアプリが開発できるようになります。これで、作り分けの必要がなくなり、さまざまな画面サイズにも対応できるようになります。また、自動車メーカ独自の見た目にも対応できるようになります。見た目への対応が柔軟になっているのは、Wear OSでの経験が反映されているのかもしれません。
今週は、このあたりで、また来週。