ふっと思いついたアイデアや、やるべきことを頭で覚えておくのは危険です。忘れてしまう恐れと、忘れないように注意を記憶に向け続けるストレスがあります。そこで常にペンとメモ帳を携帯しておけば便利です。ドラマ「ガリレオ」の湯川学はなぜペンとメモ帳を持ち歩かないんでしょうか。
技術評論社から2006年に出版されている「Life Hacks PRESS」には「いつでもどこでも文房具」(53ページ)という記事があります。この記事では様々なメモ帳やペン、腰リールという一風変わった方法まで紹介されています。筆者が現在愛用しているのは、同じく「Life Hacks PRESS」で取り上げられているHipster PDAにペンポッドというボールペンをとりつけたものです。
Hipster PDAとは何か
Hipster PDAとは何か。「Life Hacks PRESS」の38ページにわかりやすい解説がありますが、本家本元の43 Foldersを覗いてもいいでしょう。43 Foldersの記事は英語のため、若干わかりにくいかもしれませんが、Hipster PDAはそれでも実践できるシンプルなシステムとなっています[1]。
またブログのはてなダイアリーでは、筆者がキーワード作成した「Hipster PDA」があります。「Hipster PDA」を含む日記の大半が筆者のブログになっています。あまりHipster PDAの使用者がいないのでしょうか?
Hipster PDAを簡単に説明しますと、
- 情報カードを適当な枚数準備する
- それらをダブルクリップでまとめる
これだけでHipster PDAは完成です。あとはこれを常時持ち歩いて、必要なことをメモしてPDAのように活用すればいいのです。コピーの裏紙などを利用した手作りメモ帳を使っている人はたくさんいるでしょうが、これにHipster PDAと名前をつけたのがミソでしょう。
またこれは私の事情ですが、Hipster PDAはザウルスなどの、いわゆるPDAに比べて子どもの関心をひかないのがありがたいところです。3歳の息子の前でザウルスを取り出そうものならすぐに奪い取られてしまいますが、Hipster PDAだと全く無関心です。ブログを更新したり、この連載原稿を作成する作業はどうしてもザウルスSL-C1000を使う必要がありますが、息子がいる時にとりあえず思いついたことはHipster PDAにメモしておくようにしています。
情報カードに何を使うか
Hipster PDAで使用する情報カードに何を使うかということですが、これは手に入る環境や好みで様々かと思います。筆者はコクヨのシカ-30を使っています。表が7mm罫線、裏が5mm方眼になっています。ほかにも、レイメイ藤井のツァイトベクターシリーズの情報カード(表裏5mm方眼)を使っています。こちらはコクヨに比べて紙が薄く、ややコストが高めです。台紙の厚紙を利用してHipster PDAにセパレーターとして挟んでいます。書いたカードと未使用のカードとを区別するためですね。
情報カードの大きさについて、43 Foldersのオリジナルでは5×3インチ(日本では125mm×75mm)を使うようですが、たとえば名刺サイズ(91mm×55mm)でもいいかと思います。筆者は最初名刺サイズの情報カードを使っていましたが、スペースがさすがに小さいと感じて5×3サイズに変えました。名刺サイズの利点としては、グッズが充実しているところでしょうか。日頃使っている名刺入れに忍ばせておくことなどが可能です。
5×3サイズのポイントは、Yシャツの胸ポケットに入る最大の大きさだということです。これは夏場、スーツの上着を脱いでクールビズの職場で働いている筆者には重要な点でした。この点で幅90mmのモレスキンは胸ポケットに入らず大きすぎるということになります。夏場はモレスキンだと常時携帯できません。
ちなみに私の使い方では情報カード[2]は一時的なメモ用で基本は使い捨てです。ちょっともったいない気もしますがロディアと比較してもそれほどコストが高くないでしょう。
- ツァイトベクター 125×75mm 50枚 147円
- ロディアNo.11 約90×74mm 80枚 189円
またロディアと比較して情報カードは、
などのメリットがあります。筆者もロディアを胸ポケットに入れていた時期がありますが、たとえばGTDでいうプロジェクトリストのように長期間携帯したいリストの扱いに困りました。
Hipster PDA+ペンポッドの実践
さてHipster PDAの実践についてですが、コツとしては先程説明した基本のHipster PDAにゼブラのペンポッドというちょっと変わったミニボールペンをつけています[3]。これによって定位置の胸ポケットからワンアクションで紙とペンを一緒に取り出すことができます。そのHipster PDAを左手に持ち、右手でペンポッドを押してひねるとペン本体が飛び出し、すぐ筆記態勢をとることができます。
なぜペンポッドなのかといえば、そのバネを利用した独特の仕組みがおもしろいのと、他のミニボールペンと違って使い捨てではなく替芯が使えるという理由です。そのゼブラの替芯は、いわゆる4Cと言われる規格で、様々なメーカーの替芯が合うようです。この規格であればちょっと大きい文房具売場があればすぐに見つかるでしょう。たとえばシャーボX(ゼブラ)の替芯を使えばゲルインクの滑らかな書き味のペンポッドになります。
Hipster PDAにペンポッドをつけることで、ペンが無い、ということは無くなります。筆者は、通常はお気に入りのペンを使って書いていますが、外出先やとっさの時にすばやくペンポッドで記入しています[4]。大事なのは何か思いついた時にペンを探さずにすぐに書けることです。その意味でペンポッドは非常に便利な筆記具です。
Hipster PDAはいつでもどこでも持ち歩き、思いついたことをなんでも書き込みます。私のやり方としては、ToDoでもアイデアでも全ての頭にチェックボックスとして□を記入するのがポイントです。簡単なToDoについてはそのまま完了させて□にレ点を入れ消します。アイデアなどの情報はモレスキン、後日利用可能性の高いストック情報は、ザウルスSL-C1000にインストールしているEBt liteというメモソフトに転記して□にレ点を入れます。つまり、Hipster PDAに記載された情報は、完了か転記で消されて、表裏と使用した後はシュレッダーなどで廃棄しています。
ストック情報はデジタルで保存し検索
ちょっと脱線しますが、タスクやToDoといった完了すれば用済みのフロー情報に対して、後日利用する可能性をもったストック情報はデジタルに保存する方が便利でしょう。たとえばかかりつけ病院の診察時間、休診日などです。そこで私はストック情報をEBt liteで一元管理しています。できる限り情報はザウルスに集めています。
ちなみにインターネットでみつけた情報は「あとで読む」というサービスを使ってそのページをGmailへ送っておきます。ワンクリックで送信できるシンプルさと、Gmailの検索やラベル、スターなどを利用して後日必要な情報をみつけやすいのがいいですね。この連載のための参考資料もほとんどGmailから引っ張り出しました。ちなみにGmailはザウルスで利用しているモバイル版でも簡単に検索できるのがありがたいところです。
フロー情報はアナログツールで管理し、ストック情報はデジタルツールで管理する、というのが筆者の情報管理の基本です。ただ、PoICのようにアナログツールのみでフロー情報もストック情報も管理する方法もあります。ここでも人それぞれ、様々な考え方や方法があります。
次回はHipster PDAを使ったGTDおよびZTDの実践を紹介をしたいと思います。