シューカツ女子ともよの会社訪問記―知りたい!あの人のはたらきかた

第2回堀邦明(HolyGrail)~大手を辞め、スタートアップベンチャーへ

はたらくって何? シューカツ中の女子大生・ともよが会社訪問。第2回は数千人規模の会社に新卒で入社し、社員数5人の会社に落ち着いた@HolyGrailのはたらきかた。

渋谷のシェアオフィスにて。spice lifeではオリジナルTシャツが作れるサービスを展開している
渋谷のシェアオフィスにて。spice lifeではオリジナルTシャツが作れるサービスを展開している
(撮影:平野正樹)

プログラミングは苦手

ともよ:今回はHolyGrailこと堀さんを取材します。堀さんも高専卒なんですね!

HolyGrail:山口の徳山高専を卒業して、20歳でYahoo! Japan(以下Yahoo!)に入社しました。Yahoo! に4年半ぐらい勤めてフリーになり、今はspice lifeっていうベンチャーでエンジニアとしてはたらいています。

ともよ:高専出身の人ってもっと家電メーカーとかに就職する人が多いと思うんですが、なぜWeb系に就職したんですか?

HolyGrail:あー、確かに高専卒業して家電メーカーとかに行く人、けっこう多いですね。僕はもともと、インターネットを使って友達とコミュニケーションをとるのが好きだったので、昔からWebサービスには興味がありました。Yahoo! を選んだのはそういう理由です。

ともよ:いまYahoo! で使われているようなJavaScriptだったりPHPが得意だったんですか?

HolyGrail:どっちかって言うとプログラミング苦手だったほうです……学生時代は。

ともよ:そうなんですね!

HolyGrail:高専では基本Cなんですよ。C。

ともよ:私もずっとC(評価)でした(笑⁠⁠。

HolyGrail:あ、評価じゃなくてC言語です(笑)高専でプログラミングって言えば基本C言語で、たまにJavaも触ったりもするんですけど……。

ともよ:言語の話だったんですね……。

堀邦明

堀邦明[HORI Kuniaki(@HollyGrail)

1984年、山口県生まれ。Yahoo!Japan、フリーランスを経て⁠株⁠spice life へ。

新卒で入ったYahoo! の仕事

ともよ:どうしてYahoo! を選んだんですか?

HolyGrail:僕が就職した2005年当時はぎりぎりポータルサイトの時代でした。その頃Yahoo! がブログサービスをリリースしたんですが、そんなコミュニケーションサービスに憧れてYahoo! に入りました。

ともよ:Yahoo! ではどんな感じではたらいていましたか?

HolyGrail:最初は表に出ない、補助的なツールを作ったりしていました。徐々に表に出る仕事をやらせてもらえるようになって、辞める前はトップページをやっていたりしました。Yahoo! には特集チームっていうのがあるんですが、お花見特集とか、イベントごとにページを作るんですね。それもやっていました。

ともよ:表と裏方、どっちの方が楽しかったですか?

HolyGrail:表のほうが楽しいです。圧倒的に。Yahoo! は当時からものすごいPVがあったので、人に見てもらってるっていう実感がかなりありました。最初の1年目でそれを経験できたのは幸運でしたね。

ともよ:ワーオ!手ごたえがありましたか!

HolyGrail:手ごたえというか、単純に「インターネットすげー」と思ってました(笑⁠⁠。

ともよ:Webサービスを使う側から作る側になって、その喜びを知ったのが1年目というのはうらやましいです。

HolyGrail:Yahoo! のトップページ、基本的に静的っぽく見えますけど、けっこう裏側でいろんなものが動いてるんです。流れてくるニュースとか、広告とか。

大手をやめてフリーランスに

画像

ともよ:Yahoo! を退職しフリーのエンジニアになったそうですが、そんな大手をどうして辞めちゃったんですか?

HolyGrail:もっといろんなことがしたい、というのが大きかったですね。Yahoo!を辞めたとき、不安がないと言えば嘘になるんですけど、そのときは自分の中で挑戦したい気持ちがすごく強くて止められませんでした。

ともよ:フリーになって、どうでしたか?

HolyGrail:フリーはメリット、デメリットがありますからね。収入的にも安定しないことが多いですし。でも、朝が苦手な僕には自分で時間を決められるところは大きなメリットでした。好きな時間に仕事できて、通勤がないっていうのもけっこう楽で。

ともよ:あ、自宅でお仕事されてたんですか?

HolyGrail:割と自宅でやることが多かったです。最初のうちは客先に出てたんですけど、慣れてきたら普通に家で仕事をしたりっていうのが多かったです。

ともよ:腐ったりしなかったですか? 自宅で仕事をやっててマンネリ化して効率が落ちたりとか。

HolyGrail:あんまりなかったですねー。奥さんが仕事をしていたっていうのもあると思うんですが、朝出て夜帰ってくるので、時間の区切りはそれでついていました。独り身だと微妙な感じだったかもしれないですね。

ともよ:え、堀さんって結婚してるんですか?

HolyGrail:してますよ。Yahoo! を退職する2ヵ月くらい前に結婚しました。

ともよ:結婚して2ヵ月で大手企業辞めるってすごい(笑⁠⁠。

HolyGrail:Yahoo! を辞めたとき、不安がないと言えば嘘にはなるんですけど、そのときはすごく自分の中でいろんなことに挑戦したい気持ちが強かったので、止められませんでした。

ともよ:奥様は嫌な顔されませんでした?

HolyGrail:うーん。やっぱり収入に関する不安はあったみたいですけどね。フリーランスだと、どうしてもね。

ともよ:辞めないで!って懇願されたりとかは?

HolyGrail:あんまり言われなかったですね。それは。

ともよ:すいません、つい脱線しちゃいました(笑⁠⁠。フリーランスは、どういう人が向いてると思いますか?

HolyGrail:フリーだと自分で何もかもやるしかないので、細かい雑務が億劫じゃない人と、人とのコミュニケーションが苦手じゃない人が向いているんじゃないかなあ。

ともよ:会社にいるよりもコミュニケーションって大事なんですか? 一人なのに。

HolyGrail:仕事を取ってこなきゃいけないですからね。フリーってけっこう大変なんです……。

ともよ:自分自身のマネジメントも重要そうです。

HolyGrail:フリーのときには主にcoobooってサイトのリリースに携わってました。これとほかに1~2個のプロジェクトが並行して進んでいました。僕はフリーのエンジニアは結局2年間続けたんですが、自分で全部しなきゃいけないっていうのがあって、けっこうそれが大変でした。会社員でいるときよりももっと自分の裁量でできることが多いかなあと思っていたのですが、思っていたよりも自分のやりたいことができないことに気付きました。

フリーランスからベンチャーへ

ともよ:現在お勤めの、spice lifeの会社規模を教えてもらっても良いですか?

HolyGrail:社員数5人ぐらい、エンジニア1人です。

ともよ:エンジニア、堀さんお一人なんですか!Yahoo! みたいな社員が数千人いる環境から、また極端なところに落ち着きましたね!

HolyGrail:そうですね(笑⁠⁠。今はFacebookを使ったソーシャルギフトサービスを開発しています。会社には、高い目標を持って楽しく仕事をしようとしている人たちばかりなので、この環境は自分にとってすごく居心地がいいです。そういうところに今すごく満足しながら仕事できてます。

ともよ:少人数の会社はさみしくありませんか?

HolyGrail:今はオフィスに開発を手伝ってくれている方がいたり、また時々フリーランスの方が作業をしにきたり、他の会社の人を呼んでプレゼン大会をしたりと人の出入りは多いのでオフィスフロア全体は賑やかですよ。

ともよ:パーティみたいで楽しそう!

HolyGrail:spice lifeは和気あいあいとした雰囲気で仕事していて、週一のランチで代々木公園にピクニックに行ったり。

ともよ:わー仲良し!ピクニックいいなあ~。

HolyGrail:今年は「大友克洋GENGA展」「ONE PIECE展」にもみんなで行ったりしました。良いもの、楽しいものに多く触れて、そこから感じたものを自社サービスのアイデアとして盛り込もうと、フィードバックするようにしています。

ともよ:Yahoo! 時代は主にPHP、今のお仕事ではRubyを使っているそうですが、どっちが楽しいですか?

HolyGrail:個人的にはRubyのほうがきれいに書けて好きです。書いてて気持ちいいです。

ともよ:へー。そうなんですか!

HolyGrail:個人的にはRubyでものを作ってる方ができあがりが自然ときれいになる気がして。最近では自分で遊ぶゲームの支援ツールみたいなものもRubyで書いちゃうことが多いです。

ともよ:前回の取材でsora_hくんも似たようなこと言ってましたけど、やっぱりそういう使い方って多いんですね。

せっかくなのでお2人にろくろを回してもらいました
せっかくなのでお2人にろくろを回してもらいました

ペアプログラミングってなあに?

ともよ:「すごいエンジニアとペアプログラミングをすると伸びる」とお聞きしたのですが、ペアプログラミングって何ですか?

HolyGrail:1つのディスプレイと1つのキーボードをお互い共有してプログラミングをするっていうことですね。見てる人と、手を動かす人、2人でプログラミングをすることなんです。

ともよ:えー!せまそう!

HolyGrail:お互い監視にもなりますし、見てるほうがよりできる人だったら、指摘してもらってより良いコードになりますし、書いてる人がよりできる人だったら見てる人はとても勉強になりますよ。同じことをやるにしても道順はいっぱいあるし、それがより良いものになっていきやすい。

ともよ:へー。社内ではどう実践されていますか?

HolyGrail:僕はまだRubyをはじめてから長くないので、僕よりRubyスキルの高いエンジニアの方がコードを書いて、僕が隣でコードを書いているのを見ている感じです。サービスの仕様については、僕のほうが詳しく把握していたので。わからない部分があったら質問したり、仕様の細かい部分について補足説明をしながら作業を進めていました。

ともよ:得意な分野で役割分担しているんですね。コミュ力が高まりそう。

「お金の話、聞いてもいいですか?」

ともよ:大手からフリー、そして現在のベンチャーまでいろいろな立場を経験された堀さんですが、お金の話、聞いてもいいですか?

HolyGrail:それ記事になっちゃうんですか?

ともよ:できれば聞きたいです。いつの収入が一番良かったですか?

HolyGrail:一概にどれが一番とは言えないですね。フリーのときは時期によって収入にばらつきもあったので、余裕のあるときと厳しいときが交互にやってくる感じでした。

ともよ:フリーのときがいちばんお金はいってくるのかと思ってました。

HolyGrail:ばらつきも大きいですが、フリーだと出ていくお金が多いことを実感しました。保険や税金もそうですし。やっぱり会社にいるとその辺の負担ががくっと下がるなっていうのは辞めて実感しました(笑⁠⁠。

ともよ:なるほどなるほど。

はたらくって何?

ともよ:いろんな規模の会社やフリーを経験されて、いかがですか?

HolyGrail:フリーになる前は、いろんな人と会ったり、勉強会に行ってもっと新しいことを学んだり、っていうのを考えていました。でも逆にフリーになると常に仕事を抱えてる状態で身動きがとりづらくなってしまってました。新しい技術とかをやるよりは、入ってきた仕事をこなして仕事を取ってきての繰り返し。

ともよ:そうなんですね。

HolyGrail:生活を安定させようとすると、どうしても既存技術を使った案件を増やさざるを得なくなってしまうんですよね。新しい技術に触れられる仕事は、挑戦的な要素が多いので、納期や料金の見積もりが難しいですし。

ともよ:そうなんですねー。

HolyGrail:なので今の規模が一番自分には合っているような気がしています。新しいことに積極的な会社であれば、給料をもらいながら安心して新しい技術にチャレンジしていける。個人的にはそういう働き方の方があっていると思って今の会社にいます。

ともよ:今後どういう感じのはたらき方をしたいですか?

HolyGrail:そうですね、最初大きいところでやって、フリーを経て、今は5人しかいないようなベンチャーなんですけど、今いる会社が大きくなっていくところを見てみたいと思っています。

ともよ:いろんな話を比較できて面白かったです。ありがとうございました!

HolyGrail:就活がんばってください!

Mac好きの堀さん。Macbook Pro Retinaも、発売後すぐに購入したとか
Mac好きの堀さん。Macbook Pro Retinaも、発売後すぐに購入したとか

おすすめ記事

記事・ニュース一覧