スマホやタブレットがカード決済端末になる「スマートペイ」
こんにちは、携帯電話研究家の池端です。
近所の商店街を歩いていた時のこと。自転車屋さんの前でこんなマークを見つけました。見慣れたクレジットカードのマークと一緒に"Square"(スクエア)の文字。
実はこれ、スマホやタブレットにすごく関係のあるサービスなのです。
今回は、特別な機械を設置しなくてもカード決済とお店のレジにもなる、"スマートペイ"について語ります。
スマートペイの導入はとてもかんたん
「スマホ決済」、「モバイル決済」とも呼ばれるこのサービス。みなさんがふだんお使いの民生用のスマートフォンやタブレットに、イヤホンジャックアクセサリーより少し大きい位のカードリーダー装置をイヤホンジャックにセットして使います。導入のための装置はこれだけ。
事前の振込口座の登録や審査などに要する日数も3~5営業日で完了します。PayPal Hereに至っては、最短で「申し込み当日」から使用可能になることも!
初期費用や月額費用も、ほとんどの会社で無料、と驚くべき手軽さです。
使えるクレジットカードもVisaやMaster系ならほぼすべてのスマートペイサービスで対応しています。
スマートペイの主要なサービスには次の4つがあります。
決済手数料の安さも魅力
気になるスマートペイ側の収益源はカード決済ごとに上乗せされる手数料ですが、Square、PayPal Here、楽天スマートペイ、Coiney(コイニー)など手数料を公開している会社で3.24~3.75%とサービスイン当初に比べてかなり低くなってきているのも魅力です。
ほかにも導入事例ごとに手数料などは違うようですが、中国からの旅行者がほぼ持っている銀聯 (Union Payment)にも対応しているAnywhereや、複数店舗向けPOSシステム寄りのSalasee(セラシー)など、これまでのCAT端末とスマホを連携されるタイプのサービスも出てきています。
今回は、ふだん使っているスマホやタブレット1台でクレジットカード払いができるタイプを軸に考えてみましょう。
クレカ決済を躊躇する本音は「手数料と支払いサイト」
数年前、仕事で深夜遅くの帰宅になり駅からタクシーに乗りました。
距離にしてワンメーターを少し超えるくらい。持ち合わせがなかったので"カードOK"の表示を確認しつつ「カードで」と運転手さんにお願いしたところ、なぜか舌打ちされてドアの開閉までもやや乱暴に…なんで!?
それから数日後、タクシー業界で長く働いていた知人にその話をしたところ、「手数料もそうだけど日銭にならないので、(使えると謳いつつ)実は嫌がるドライバーもいるかも」と解説してくれました。
スマートではない既存のクレジットカード決済サービスを調べると、月2回や翌月払いの支払いサイトが「普通」だそうです。
仮にレストランで3万円くらいのお会計だったとして、カード払いだとその売上が入金されて本当に受け取れるのは半月後とか翌月。お店にしてみればこれは死活問題です。
一部の飲食店などでカード払いだと代金に何%増しなどと上乗せするお店が存在するのは、こういった事情からだったのですね。
これに対して、スマートペイ4社では導入費用だけでなく支払いサイトもスマートです。
スマートペイ各社が指定する銀行口座(Squareならみずほ銀行や三井住友銀行、楽天スマートペイなら楽天銀行)なら翌営業日に入金されます。
ほかのサービスでも3日から週2回、月6回などと、入金までのスピードもこれまでのカード決済にくらべてかなり早いようです。
個人売買でもクレカ決済が可能。フリマや原稿料、飲み会費用の徴収もOK!
さて、ややビジネスコラム寄りの内容になってきましたが、私がこのサービスで面白いと思ったのは、お店や会社などの法人だけではなく、個人でもスマホ+αでカード決済を開設できる点です。
たとえば、飲み会の幹事になって、現金の持ち合わせのない数名分だけ後日精算となり面倒な思いを経験した方はきっといるでしょう。社内であればまだしも、外部の人とのやりとなるとなおさらです。
そのような時に、「カードでも払えますよ」といってその日のうちにキッチリ徴収して、あとは自分の口座に振り込まれるといったスタイルが今後は珍しくなくなるかもしれません。
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