米Packet Host社は12月16日、ARMサーバを使ったベアメタルクラウドサービス[1]の提供開始を発表し、American Club六本木にてローンチイベントを開催しました。ソフトバンク株式会社は本サービスの日本展開に際して全面的な支援を行っていくとのことです。
クラウドに注力するソフトバンク
オープニングトークは、ソフトバンクの専務取締役エリック・ガン氏によるPacket Hostの紹介と日本でのサービス展開についての発表でした。Packet Hostは2014年7月設立、現在従業員が二十数名ほどのスタートアップで、ベアメタルクラウドを提供するクラウド事業者です。2016年11月にARMアーキテクチャのサーバマシンの提供を開始し、サービス開始2週間で提供先は400社にのぼりました。ソフトバンクはその実績と革新的なサービスに注目し、出資を決めたとのことです。
また本サービスのリージョンとして、これまで展開しているサンノゼ、ニュージャージ―、アムステルダムに加え、日本でのサービス提供開始とともに東京リージョンが追加されたことを発表しました。
ソフトバンクは2016年5月、中国アリババグループとの合弁会社「SBクラウド」を設立し、12月から「Alibaba Cloud」の提供を開始しており、同社のクラウド市場への高い関心が感じられます。
初のグローバルなARMクラウド
Packet HostのCEO、ザッカリー・スミス氏は、実際に提供されるサービスの概要について語りました。
今回提供が開始されたのは、ARMv8-Aサーバ[2]を用いたベアメタルクラウドサービス「Type2Aサーバ」です。ARMサーバを使用している理由は「低消費電力×高密度」。インテルアーキテクチャのサーバと遜色ないパフォーマンスを、従来比10分の1の省電力と、1サーバラックあたり7,300コアという高密度(=省スペース化)によって、はるかに低コストで実現できるとのことです。
ザッカリー氏はType2Aサーバの提供に際して次に紹介する3つの使命を掲げており、すべて実現するように今後も前進を続けていくつもりとのことです。
- クラウドの競争を変革するような価格設定に
- 現状、先に挙げたARMサーバの特徴によって85円/1時間(1コアあたり1円以下/1時間)という価格を設定できている。
- どこからでも使えるように
- 世界のどこからでも、5~10分でサーバの立ち上げができるようにする。
- どんなものでも動くように
- Docker、Kubernetes、MesosなどクラウドネイティブやIoTでの利用、RHEL、Ubuntu、CoreOSおよびFreeBSDの各OSの64-bit ARMサポートのため、エコシステムとの協力を進めている。
また日本でのサービス開始については「日本を世界で最先端のARMのマーケットにしたい」と意気込みを語りました。
イベントでは、Packet Hostのサービス世界展開をサポートしている組込み用マルチコアプロセッサ事業の米CAVIUM社、電子機器受託生産の台湾FOXCONN社の代表者も参加しており、発表イベントの最後に代表者の皆さんによる鏡開きも行われました。
また、クリエーションライン株式会社が日本でのType2Aサーバの展開において提携を発表しており、ベアメタルARMクラウド上でのIoTデータ解析ソリューションの提供を予定しているとのことです。