2日目のキーノートでは、前半に富士通株式会社執行役員常務 豊木則行氏によるプレゼンテーションが、後半にOracle, John Fowler氏を中心に各種新製品の発表が行われた。
初日の振り返り
キーノートに先立ち、Oracle President, Murk Hurd氏が登壇し、初日のLarry Ellison氏の発表内容について振り返った。
shaping tomorrow with you:午前のキーノートは富士通から
午前中のキーノートでは、日本からのスピーカーとして富士通株式会社執行役員常務 豊木則行氏が参加し、富士通としての取り組み、Oracleへの期待といった内容のプレゼンテーションを行った。
豊木氏は「shaping tomorrow with you」という、富士通の企業メッセージをアレンジしたビデオを流した後に、「富士通は日本に拠点を置く、グローバルカンパニー。心を重んじ、パートナーの成功にコミットしていく」という企業理念について説明した。
さらに、Oracleとの関係について、これまでSunと共同で開発していたSPARC Enterpriseなどを例に挙げながら、「今後も製品開発やクラウドコンピューティングに対する取り組みなど、新しい信頼関係を構築していきたい」とまとめた。
Sunのテクノロジーアップデート
次に、Oracle Exective Vice President, SystemsのJohn Fowler氏が登壇し、OracleとSunのテクノロジーを軸に、Sun買収のメリットについて語った。
Fowler氏は「OracleがSunを買収し一緒になったことにより、エンジニアリングを一緒に行えるようになった。これは非常に素晴らしいことだ」として、
これら4つの観点から、今後さらに技術的なメリットが生まれてくるだろうと述べた。
さらに「OracleとSunには長い歴史があり、これからも歴史が続いていく。そして、今、新しいプロセッサ、新しいシステムを発表する」と「SPARC T3」の発表に移った。
SPARC T3プロセッサは、16コアのプロセッサで最適な環境においてすぐれたパフォーマンスを発揮する。この点をFowler氏は「我々Oracleが提供するのはプロセッサだけではなく、そのプロセッサを最大限に活かすシステムである」と、各種アプリケーションを含めたシステムとしての「SPARC T3」の強みをアピールした。
SPARC T3の主な特徴は以下のとおり。
- 1ソケットの16コア搭載ブレードから5Uラックマウント型で512スレッドを実現する4ソケットの64コア搭載サーバまでを構成可能
- 「Oracle Solaris」「Oracle VM for SPARC」が動作し、「Oracle Database」「Oracle Fusion Middleware」「Oracle Applications」などの各種プラットフォーム・ミドルウェアに最適化されたシステム
また、今回、Oracle VM Server for SPARC 2.0が新たに発表されている。
LinuxとSolaris―Solaris 11の発表
続いて、Fowler氏はOSに関する話題に移った。「Solarisは元々優れたエンタープライズOSであることは認識しており、Linuxもそれに近づけたいと考えていた。とくに大型サーバでの稼働パフォーマンスの優位性を確立したいと考えており、今回、OracleとSunのエンジニアが一緒になったことにより、インハウスのエンジニアで各種ミドルウェアを最適化できるようになったことは大変喜ばしいことだ」と、OSの開発はもちろん、その上で稼働するアプリケーションの最適化まで行えるようになり、開発環境がますます整備され、その結果として顧客やユーザに優れたOSを提供できるようになったことをアピールした。
さらに、気になるOracle Solarisの最新バージョンの話題にも触れ、「いよいよ今週Solaris 11について発表する。リリースは来年を予定している」と、Solaris 11についてロードマップを発表した。
この他、OracleがなぜLinuxとSolarisの2つのOSを開発するのかという点に触れ、「それは顧客にとって選択肢があることが大事だから。これからも顧客のニーズに合わせて2つのOSを開発し提供し続けていく。また、2つのOSのエンジニアリングをすることはOracleにとっても資産になる」とコメントした。
ZFSを搭載したアプライアンス―Oracle ZFS Storage Appliances
次に、Sunのテクノロジーとして注目を集めていたZFSに関する発表が行われ、新たに「Oracle ZFS Storage Appliances」が発表された。
Oracle ZFS Storage Appliancesは、ファイルシステムZFSを搭載したストレージアプライアンスで、ペタバイトでのシームレスなスケールを実現する。この発表に合わせて、通信社Tomson Reuters CTO, James Powell氏が登壇し、ReutersがOracleを採用した理由、日々細かく大容量のデータを処理する通信社ならではの視点からOracle ZFS Storage Appliancesの効果を話ながら「これからもOracleの製品を使っていく」とコメントした。
大規模OLTP、データウェアハウス向け「Oracle Exadata Database Machine X2-8」を発表
この後、再びHurd氏が登壇し、Oracleのミドルウェア製品の主力「Exadata」ファミリーの新製品として、「Oracle Exadata Database Machine X2-8」を発表した。
Oracle Exadata Database Machine X2-8の主な特徴として、
- 合計128コアのインテルCPUおよび2テラバイトメモリを搭載する2基の8ソケットデータベースサーバ
- 168コアのインテルCPUおよび最大336テラバイトのローストレージ容量を搭載する14台の「Oracle Exadata Storage Server」で構成
- 5テラバイト以上の「Exadata Smart Flash Cache」の搭載
- 40ギガビットインフィニバンド内部接続
- 10ギガビットEthernet外部接続
といった点が挙げられる。
今回の発表により「Oracle Exadata X2-8」フルラック、「Oracle Exadata X2-2」クオーターラック、ハーフラック、フルラックシステムの4つの構成となった。
気になるOpenSolarisは?
キーノートの後、Press & Blogger Chalk Talk(プレスやブロガー向けの個別Q&A)が行われ、午前のキーノートに関する補足が行われた。
この中で、「Oracleと開発コミュニティとの関係は?」「OpenSolarisはどうなるのか?」といった質問が上がり、担当者の回答としては「Oracleは引き続き開発コミュニティと積極的に関係を構築していく。OpenSolarisについては、将来的にはOTN(Oracle Technology Network)へ統合していくだろう」という、1つの指針となるコメントが発表された。