という点に着目したい。ここで、とくに全体として「Web標準」「Webサービス」を指向しているという点が重要だ。これはWeb技術をそのまま活用し、さらにブラウザを超えAIRと結び付くことで、Web標準さらには広くWebサービスと、AIRが融合して生み出される先進的なAIRアプリケーション開発の道を切り開く可能性を期待した試みのようだ。サービス分野、AIRに関しては広告やSaaS(Software as a Service)、サブスクリプションベースを絡めたビジネスモデルについても基調講演外でも見解が示されていたが、まずはAIRの普及自体が随所で鍵をにぎっている点は周知のとおりで、開発者の方々には技術的な観点からもぜひ注視していただきたいところ。現在ベータ版のAIRだが、正式リリースは2008年前半を予定しているとのこと。業界的にも長期的に大きな意味を持つ可能性のあるこれらの試みが、実際にWebアプリケーションおよびAIRアプリケーションにいかなる変化をもたらすか、動向は要注目だろう。
「サーバ分野」では「LiveCycle ES」(ES:Enterprise Suite)が登場した。従来のサーバサイドのPDFソリューションとしてのイメージが強かった製品だったが、PDF、Flash、HTML/Ajaxをはじめとしたクライアントをサポートする統合プラットフォームへと変化を遂げ、PDFとRIAとを連携できるトータルバックエンドとしてのリポジショニングが強調された。そうなるとFlash Media Serverとの棲み分けは明解で、RIAでもとくにビジネスロジックが関わってくるエンタープライズアプリケーションに関しては、本製品が検討されることになるだろうとのこと。
基調講演のレポートのむすびに
以上、2回にわたったAdobe Max 2007のレポートは、二日間の基調講演にスポットを当てたが、全四日間を通して主要な製品の詳しいロードマップや技術的な詳細から、開発テクニック、 ColdFusionをはじめとするサーバ製品・サービスなど多岐にわたるテーマについて、多数のセッションやパネルが行われた。本イベントは有償のイベントだが参加者にはフリーランスの方も多いとのことで、会場では反応が非常に率直で、スピーカーへの質問などの意気込みたるや時折圧倒されるほど。 Adobe Maxは、開発者向けテクノロジ群に一挙に触れられるという魅力に加え、第一線の開発者が一同に集うほかにはない機会となっているようだ。
日本に初上陸! Adobe Max Japan 2007
なお、11月1日~2日には「Adobe Max Japan 2007」がついに日本、東京で開催されることが決定している。すでに下記のサイトで一部発表されており、本家のAdobe Maxの熱気を引き継ぎつつ、日本開催ならではのセッションを盛り込み一味違ったイベントになるとのことである。FlashクリエータやWebデザイナ、そして広くシステム開発者へ届けるメッセージを考えるなら、既存の技術と比べワークフローの変化がもたらす影響が実感につながるか、開発コミュニティのいっそう充実に結び付くか、あたりがかなめになるかもしれない。合わせてJavaや.NET、LLなどのコミュニティの方々、またAjaxなどのインタラクティブ系の技術に通じた開発者の方々にとっても刺激的な内容を期待したい。