5月21日、株式会社Speeeオフィスにて「第3回 FreeBSD勉強会」が開催されました。この勉強会はFreeBSDコミッタである佐藤広生氏、後藤大地氏両名の立案がきっかけで開催されています。『Software Design』『FreeBSD Expert』や『FreeBSD Daily Topics』を発行する技術評論社、会場提供元となる株式会社Speee、ハンドリングを行うオングスおよびFreeBSD実行委員会の協力のもとで開催されています。
BSDCan2010レポート
5月中旬にカナダのオタワで開催された*BSD国際会議「BSDCan2010」の報告が後藤大地氏からありました。カンファレンスの前日2日間に開催されたFreeBSD DevSummitも含めて、広く全体を紹介する内容です。会場のフォトを紹介しながら、ときに冗談を交えた紹介でした。数日間で広い話題を扱っており、全体を把握するのが大変だという印象を受けます。
後藤氏からはざっくばらんにさまざまな話題が紹介されましたが、とくにカンファレンスやサミットの全体を通じてZFSとLLVM Clangという単語が聞かれることが多かったという点が興味をひきました。FreeBSDに移植されたZFSの関心の高さや、GCCからLLVM Clangへ移行することへの関心の高さが伺えます。
Soft Updates Journaling説明と実演
FreeBSD 9-CURRENTのSoft Updatesに新しくジャーナリングの機能が追加されました。FreeBSD 9の目玉機能になるとされています。佐藤広生氏から、なぜSoft Updatesではディスクの一貫性が崩れることがないのか、どのデータをジャーナリングすることでfsckの時間を高速にすることができるのかといった説明と実際の実演が行われました。
第2回「リモート管理の活用法とシステムトラブル対応の基礎」のテクニックを使って遠隔からシステムにログインしてデバッガからresetを実行、故意にクラッシュさせた状態から、ジャーナルが有効になったfsckが一瞬で完了する様子をデモンストレーションし、会場から驚嘆の声が上がりました。ジャーナルもそうですが、SSH経由でBIOSの画面が表示されたことに驚きを覚えた参加者も見られました。
Soft Updateはメタデータの処理をすべてメモリで実行することで処理速度の高速化を実現します。ディスクへの書き込み順序を工夫することで、どの操作の段階でもディスク上のデータに不整合が発生しないようになっています。ただし、メタデータの書き込み前にシステムがクラッシュすると、使われていないのに使われたことになっている「もったいない領域」が残ってしまうことがあります。これを削除するためにディスク全体をチェックして未使用領域を開放するバックグラウンドfsckを実行する必要があるということです。
SUJはバックグラウンドfsckで必要になるデータをジャーナルとして記録します。ディスク全体をチェックする必要がなくなり、必要な部分だけをチェックすれば済むようになります。こうすることでだいたいのケースで数秒、どんなに長くても1分程度しかfsckに時間がかからないようになるという仕組みです。
gihyo.jp FreeBSD勉強会 - 1年を経ての復活、定期開催へ
株式会社Speeeさまのご提供を受けてgihyo.jp FreeBSD勉強会の定期的な開催のめどがつきました。今後は毎月第3金曜日をgihyo.jp FreeBSD勉強会の開催日とし、継続した開催を目指します。FreeBSDに興味がある方のスキルアップの場として、また、関係する方々の交流の場所として機能できるよう取り組んでいくということです。