YAPC::AsiaからYAPC::Japanへ
昨夏、YAPC::Asiaの名義として最後となるYAPCが東京ビッグサイトで開催された(前夜祭 ・1日目 ・2日目 ) 。あれから1年4ヵ月――YAPC::AsiaからYAPC::Japanに名称を変更し、主催のJPA (Japan Perl Association)の体制も新たに、新しいYAPCが札幌市産業振興センター(北海道・札幌)にて開催されました。
YAPC::Hokkaido 2016 SAPPORO
http://yapcjapan.org/2016hokkaido/
会場となった札幌市産業振興センター当日の写真。朝から札幌は記録的な大雪となった
受付。雪の中、総勢185名を超える参加者が集まった
イベント前日夜から札幌は雪となり、イベント当日は29年ぶりとなる積雪量を記録するほどの大雪の中、参加者全員がカンファレンスを満喫したYAPC::Hokkaido 2016 SAPPORO。ここでは、写真を中心にその模様をお届けします。
記念となる第1回目の宣言とともに開幕
オープニングは、今回の実行委員長を努めた永谷理氏が担当。北海道・札幌での開催の経緯、そして、「 雪の中での開催の中、多くの方にぜひ楽しんでいただきたい」という力強いメッセージとともに、第1回目となるYAPC::Japan、YAPC::Hokkaido 2016 SAPPOROが開幕しました。
永谷理氏
魅力的なセッションを行ったゲストスピーカたち
リブートしたYAPCの最初のゲストスピーカとして招かれたのは、gihyo.jpでもおなじみの3名です。( 発表順に)奥一穂氏(@kazuho) 、長野雅広氏(@kazeburo) 、宮川達彦氏(@miyagawa)が、それぞれ「HTTP/2の課題と将来」「 Site::Reliability::Engineering」「 Delivering a CDN」と題したセッションを行いました。
3名ともこれまでのYAPC::Asiaでも何度も登壇しているベテランスピーカですが、その中で、今、それぞれが取り組む技術やプロダクトについて、最新の情報を届けました。技術進化に合わせてゲストスピーカたちのトーク内容が変化していく、このあたりからも「リブート」されたYAPCの魅力が伝わってきました。
HTTP/2の課題と将来/奥一穂氏
Site::Reliability::Engineering/長野雅広氏
Delivering a CDN/宮川達彦氏
スペシャルセッション~「今さら聞けない、でも聞きたい。クラウドの過去・現在・未来」
また、午後には筆者がモデレーターを務めたスペシャルセッション~「 今さら聞けない、でも聞きたい。クラウドの過去・現在・未来」が行われました。このセッションの一番の特徴は、アマゾン ウェブ サービス ジャパン・さくらインターネット・日本マイクロソフト・グーグルという業界を代表するクラウド企業4社が横並びのパネリストとして登壇した点ではないでしょうか。
パネルディスカッション風景。グーグル福田氏はハングアウトにて参加(写真中央スクリーン)
内容はタイトルにもあるように、クラウドの基礎を、各社の特徴をふまえながら紹介してもらい、また、MCからの質問や会場からの質問とともにトークを繰り広げたものとなりました。ちなみに、今回、グーグル福田氏は、大雪の影響で来道することができず、急遽ハングアウトでの参加。私自身、運営を見ている中で、こういったトラブルにも対応できる現場力を改めて体感できる場ともなりました。
写真奥からAWS荒木氏、さくらインターネット田中氏、日本マイクロソフト久森氏
濃厚なPerlトークから最先端テックトークまで、充実したA/Bトラックのセッション
他にも応募で入選した、さまざまなセッションがA/Bそれぞれの会場で行われました。ここでは、スピーカの写真を中心にお届けします(タイトルおよびスピーカ名は公式サイト のものを掲載しています) 。
A会場(写真は発表順)
A会場ではおもに40分のトークを中心に、Perlの最新動向やWeb開発、また、Perl開発に伴うノウハウといったトークが繰り広げられました。
(左)2016年のPerl (Long Version)/charsbar氏
( 中)Perl6とWeb開発と/tokuhirom氏
( 右)Number Unlimited/Dan Kogai氏
(左)今から始めるMicrosoft Azure - Dive into Azure/Tatsuro Hisamori氏
( 中)モジュールメンテナンスを通して感じる最近の Perl/吉田昌平氏
( 右)LINE Bot on the Perl/Yappo氏
B会場(写真は発表順)
A会場より小規模だったB会場は、おもに20分枠のトークが用意され、Perl以外の話題も数多く発表され、多様な内容となりました。
(左)MySQL 5.7の次のMySQLは/yoku0825氏(撮影:Kohsaku Saito氏)
( 中)近年のOSS開発におけるCI選択のベストプラクティス/pine613氏
( 右)APIをPerlで作る時に僕達が考えたこと/papix氏
(左)iOS/AndroidアプリにおけるAPIサーバーのいろは/xaicron氏
( 中)Writing Perl extensions in Rust/Vickenty Fesunov氏
( 右)2017年、飛躍する技術と共に命懸けのダイブ!「普段使い言語環境」更新によるスキルリセットサバイバルガイド/谷内元氏
(左)10年モノ熟成Perlとの付き合い方/Masaki Nakagawa氏
( 中)AndApp RPGツクールMVの舞台裏とSPAの運用について/Hiroki Honda氏
( 右)クラウド環境におけるWebアプリケーションの正しい作り方/照井将士氏
(左)CMSとAPIの素敵な関係/高山裕司氏
( 中)Vue.jsによるWebアプリケーション開発/千葉誠氏
( 右)頼りがいのあるORM「Aniki」徹底解説!/karupanerura氏
(左)はてなのインフラ環境を自宅で再現する/masayoshi氏
( 中)PHPエンジニアが初めてPerlでWebアプリを作った話/不破崇行氏
( 右)B会場の風景
スポンサーセッション&LTの締め括りも
A/Bでの各種セッションに加えて、スポンサー各社によるランチセッション、スポンサーセッション、また、キーノートのあとには恒例のLT(Lightning Talks)も開催されました。
ベストLTにはsakura(@818uuu)さんが選ばれました。
ベストLTに選ばれたsakura(@818uuu)さん
クロージング~これからのYAPC::Japan
朝9:45からスタートしたYAPC::Hokkaido 2016 SAPPOROもいよいよフィナーレを迎えることになりました。クロージングは、今季からJPAの二代目代表理事を努めた小林篤氏から、あらためてリブートしたYAPCについて、今回の参加者数や運営の舞台裏などが紹介されました。
この日は大雪の中、185名の参加者が集まったことに改めて運営を代表して参加者、スピーカー、スポンサー、スタッフに向け、御礼を述べるとともに、これからのYAPC::Japanの展望について説明がなされました。
JPA二代目代表理事 小林篤氏からのクロージングメッセージ
オープニングでも永谷氏が述べたように、YAPC::JapanとリブートしたYAPCはすでに次に向けて動き出しています。まず、年明け2017年3月4日、大阪にてYAPC::Kansaiの開催が決定しています。
さらに同年7月1日には福岡での開催が、さらにさらに翌2018年には東京開催を予定しているとのこと。JPAの体制とともに、あらたに組織が組まれたYAPC運営に関して、これからどのようなカンファレンスが開催されるのか、今から楽しみです。
また、恒例のベストトークは、リブート1回目ということで、運営側で選考が行われ、「 iOS/AndroidアプリにおけるAPIサーバーのいろは」を発表したxaicron氏が受賞しました。
ベストトーク賞は「iOS/AndroidアプリにおけるAPIサーバーのいろは」を発表したxaicron氏(右)
そして、いよいよフィナーレです。こちらも恒例となったブログを書くまでがYAPCですというメッセージに加え、今回は、大雪だったこともあり、帰宅するまでがYAPCです、と述べ、初の北の大地での開催となったYAPC::Japanの幕が閉じました。
参加者の感想エントリやTwitterまとめについては以下エントリにて随時更新中です。
【随時更新中】YAPC::Hokkaido 2016 関連エントリまとめ
http://blog.yapcjapan.org/entry/2016/12/15/130453
終わりに~実行委員長/JPA二代目代表理事からのメッセージ
イベント終了後、オープニング/クロージングを努めた永谷氏・小林氏にメッセージをいただいたので、レポートの締め括りとして掲載いたします。
永谷氏: 皆さんこんにちわ。オープニングを担当させて頂いた永谷@Hokkaido.pmです。
予想外の悪天候になり参加者の皆さんには大変な苦労になってしまいましたが無事に開催する事ができました。まずは参加者様、登壇者様、スポンサー様にこの場を借りて御礼申し上げます。
実は自分は過去に一度YAPC::AsiaのHokkaido版をやる宣言をしたものの撤退した過去があります。その件もあり今回JPAから話を聞いた時は大丈夫だろうかとちょっと心配だったのですがスタッフみんなの後押しで地方開催の先陣を切る事ができました。
準備や運営面では大きなカンファレンスの運営経験のある方が複数いた事で滞りなくすすめる事もできましたし、JPA側には時間のかかる作業をほとんど行って頂けたので助かりました。
セッションでは、私自身、楽しみにしていたクラウドセッションは降雪で飛行機欠航のため、パネリスト1名欠席というトラブルの中、Googleハングアウトを活用して当初のメンバーで実施でき、会場でも好評だったようで感無量です。
終わってみれば申し込み265名・参加185名と大盛況に終わり、悪天候というトラブルはあったものので怪我などの事故もなく無事に開催できて安心しています。
今回は本当に凄い悪天候でしたがこんな事は滅多にないので、これに懲りずまた北海道でPerlのイベントを開催できればと思っています。次回はHokkaido.pmになるかと思いますが皆さん宜しくお願いします。
小林氏: JPA(JapanPerlAssociaton)を今期(正式には前期末くらい)に引き継ぎ、代表理事として初めて企画したYAPCでした。
地方開催を主眼にHokkaido.pm/Kansai.pm/Fukuoka.pmの皆さんと話したとき、どのpmの方も前向きで手を上げて頂き「コレなら行ける!」と確信していたのですが、その確信を現実のものとできました。
試される大地、北海道・札幌での開催。12月10日を開催日にしたのは、「 この時期ならまだ雪はそんなに降らない」という理由だったのですが、蓋を開けてみると、なんと29年ぶりの大雪!まさに「試される大地w」 。
飛行機が欠航したりなどで来場頂けなかった方には大変申し訳なく思いつつも、本当に記憶に残るカンファレンスになりました。来場頂いた皆様に大変感謝しております。
次回はYAPC::Kansai 2017 OSAKA(2017年3月4日開催)です。
関西・大阪の地でまた再びお会いできるのを楽しみにしております。
YAPC::Hokkaido 2016 SAPPOROスタッフ集合写真
(撮影:櫛井優介氏)