私共は重力による時間の遅れと空間の歪みを切り離して書き始めた。アインシュタインの最初にたどった道を歩き始めたのである。どのようにまとめるか悩み、書店の本棚を覗くとアインシュタインの相対性理論の本が並んでいる。面白そうな理論で理解できたらと多くの人が思っていることがわかる。手に取って開いてみると、物理学科の学生でも骨が折れる中身である。これを分かりやすく図に表した雑誌にニュートンがある。けれども数式を省いてイラストだけで、勉強のきっかけには良いが、味気なく核心がつかめない。そこで2006年に著したのが
誰でも知っているピタゴラスの三平方定理から始めて、楽しく数学を学びながら、特殊相対性理論が理解できるように、かなり工夫を凝らした入門書。とにかく初心者に徹底的にわかりやすく、という著者たちの配慮が感じられ、二色刷りの豊富な図版も理解の助けになっている。
アインシュタインが、この1905年の特殊相対性理論を起点として、多くの協力者をえて紆余曲折を経てたどり着いたのが一般相対性理論である。重力により時間の遅れや空間の歪みが起こる。これを取りいれたのだ。初期には重力による潮汐力を組み込むことが出来ず、重力レンズでは光が半分しか曲がらない理論を発表している。上手く潮汐力を組み込むためにアインシュタインは微分幾何のテンソル論を使って友人のグロスマンと議論している。最後にヒルベルトとの議論によりインスピレーションを得て重力場方程式にたどり着いたのが1915年である。多くの著書ではそうしたテンソル論による重力場方程式を書いている。おそらく著者も疲れ、読者には理解しづらい本の積み重ねとなっているのではあるまいか!
そこで私共は重力場方程式は結果だけにしてシュバルツシルト解を扱うことにした。ここから時間の遅れ、重力レンズ、ブラックホール、近日点の移動などの本質的な物理現象が説明できる。多くの図やシミュレーションを入れて幾何で見え必ず分かるように工夫を凝らしたのが本書である。利発そうな小学生4年生も興味をもって読んで質問してくれた。驚き、嬉しかった。