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2022年1月12日2022年最初のカーネル「Linux 5.16」リリース

Linus Torvaldsは1月9日(米国時間⁠⁠、⁠Linux 5.16」のリリースをアナウンスした。年末年始の休暇と8本のリリース候補(RC)版を経た、2022年最初のカーネルの公開となる。ソースコードは約2258万4883行、ファイル数は6万3515、コメントや空白行を合わせると3000万行を超えるカーネルサイズとなった。

Linux 5.16 -Linus Torvalds

Linux 5.16におけるおもなアップデートは以下の通り。

  • futex_waitv() …FUTEX(Fast User Mutex:高速ユーザ空間機構)からスプリットした「FUTEX2」として追加されたシステムコールで、複数のfutexを待機可能。Windowsの「WaitForMultipleObjeccts」をエミュレートし、WineやProton(Steam Play)などWindows互換レイヤで動作するゲームのパフォーマンスを大幅に向上させることが可能に
  • FAN_FS_ERROR …fanotify(ファイルアクセス通知機能)が新たにサポートするファイルシステムのヘルスモニタリング機能。デーモンがファイルシステム上の問題を検知するとすぐに「notify sysadmin」⁠start recovery」などのアクションを取ることが可能(現時点でサポートするファイルシステムはext4のみ)
  • folio(s)4KBよりも大きいページサイズでメモリを管理できる機能。汎用的なワークロードのパフォーマンス向上が実現
  • タスクスケジューラにCPUクラスタサポート(L2/L3キャッシュの共有など)を追加、Kunpeng 920やJacobsvilleなどに対応
  • Intelのサーバ/データセンター向け新命令機構「AMX(Advanced Matrix Extensions⁠⁠」をサポート(機械学習の推論で非常に高い性能が期待、⁠Sapphire Rapids」に搭載予定)
  • Linux 5.15で追加された「DAMON(Data Access MONitor⁠⁠」の拡張 …プロアクティブなメモリリクラメーションをサポートする「DAMON_RECLAIM⁠⁠、メモリ領域に対し、一定の期間に一定のアクセス頻度で処理を行うオペレーションスキーム「DAMOS(Data Access Monitoring-based Operation Schemes⁠⁠、物理アドレス空間モニタリング(Physical Memory Address Space Monitoring)のサポート(以前は仮想アドレス空間のモニタリングのみサポート)
  • メモリの輻輳制御(書き込み)の改善congestion_wait()のリプレース

Linusはすでに次期バージョンとなる「Linux 5.17」のマージウィンドウをオープンしており、プルリクエストの受付を開始している。

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