Ubuntu Weekly Recipe

第912回26.04 LTSとNVIDIA/AMDのGPGPU事情

今回は執筆時点でのUbuntu 26.04 LTSのNVIDIA/AMDのGPGPU対応状況を報告します。

26.04 LTSとGPGPU

Ubuntu Weekly Topics 2025年9月19日号では、CUDAツールキットのUbuntuリポジトリ経由での配布が報じられています。また同2025年12月12日号では、ROCmのUbuntuリポジトリ経由での配布が報じられています。すなわち2大GPUメーカーであるAMDとNVIDIAは、そのGPGPU実行環境についてUbuntuリポジトリ経由での配布が発表されています。

というわけで、26.04 LTSリリース時点でのAMD/NVIDIAのGPGPU対応が具体的にどのようになったのかを見ていきます。

NVIDIA編

Ubuntu Weekly Topics 2025年9月19日号の段階では、実際にいつ頃どのバージョンのUbuntuを対象にしてCUDAを配布するかの発表が全くありませんでした。これはどうもNVIDIAの都合ではなく、Canonicalの都合であったようで、26.04 LTSのリリース直前にパッケージがアップロードされています。複数のパッケージがあってタイミングはバラバラでしたが、メタパッケージ(パッケージをインストールするためのパッケージ)であるcuda-meta-13-1はリリース前日の4月22日にアップロードされています。ギリギリにもほどがあります。

パッケージ名からもわかるようにアップロードされたCUDAのバージョンは13.1です。本記事の執筆段階での最新バージョンは13.2.1なので、新しくも古くもない通常使用する分には問題のないバージョンです。

NVIDIAのプロプライエタリなドライバー(以下NVIDIAドライバー)をインストールした後にCUDAをインストールしますが、26.04 LTSではそのNVIDIAドライバーをインストールする方法に変更があります。

第908回でも述べたように、⁠ソフトウェアとアップデート」パッケージがインストールされなくなりました。同時に「追加のドライバー」が使用できなくなったということでもあります。

「ソフトウェアとアップデート」⁠パッケージ名はsoftware-properties-gtkをインストールすればいいのかというと、そうシンプルでもなく、26.04 LTSリリース時点の「ソフトウェアとアップデート」には不具合があり、⁠追加のドライバー」が使用できません(図1)。とはいえ、程なくアップデートがリリースされる予定ではあります。

図1 26.04 LTSのリリース時点では「利用可能なドライバーを検索しています」から進まない不具合がある

「ソフトウェアとアップデート」を使用しないでNVIDIAのプロプライエタリなドライバーをインストールする方法としては、ubuntu-driversコマンドを実行するという手があります。

具体的にはubuntu-driversコマンドを実行して現状を確認し、ubuntu-drivers listコマンドで現在インストールできるNVIDIAドライバーを確認し、sudo ubuntu-drivers install ⁠インストールするドライバー)でインストールします(図2)。インストール完了後は再起動します。

図2 `ubuntu-drivers`コマンドの実行例

CUDAのパッケージ名はNVIDIAのリポジトリにあったものと(全部確認したわけではありませんが、原則としては)同じです。すなわちインストール時に指定する基本的なメタパッケージ名は、これまでのnvidia-cuda-toolkitではなくcuda-toolkit-⁠バージョン)となります。注意点としては、nvidia-cuda-toolkitはリポジトリから削除されたわけではなく、またcuda-toolkit-⁠バージョン)の移行パッケージになっているわけでもないので、注意が必要です。

前述のとおりCUDAのバージョンは13.1なので、本記事の執筆段階ではcuda-toolkit-⁠バージョン)cuda-toolkit-13またはcuda-toolkit-13-1になります。

セットアップを完了しBlenderをインストールすると、きちんとCUDAが使用できるようになっていることがわかります(図3)

図3 NVIDIAのリポジトリを追加しなくてもBlenderでCUDAが使用できるようになった

今回はBlenderを例にしていますが、LM Studio(厳密にはそのバックエンドであるllama.cppなどでも同様に使用できます。

AMD編

ROCmはオープンソースなので、Ubuntuのリポジトリから取得できるようにすること自体は特に難しくありません。パッケージが多いのでメンテナンスが大変だという事実はありますが。現にDebianのリポジトリにはROCmのパッケージが存在します。しかしUbuntuではこのパッケージを取り込んでいませんでした。

あくまで憶測ですが、AMDから予算が出てUbuntuのリポジトリから配布することになったのでしょう。CUDAも同様ですが。

26.04 LTSからリポジトリに入ったROCmのバージョンは7.1.1で、リリースされたのは去年の11月と、半年ほど前です。本記事の執筆段階での最新バージョンは7.2.3です。ここまで新しくなくてもいいですが、せめて3月にリリースされた7.2.1くらいにはなっていてほしかったところです。

というのも、7.1.1では第891回で紹介したRadeon RX 9060 XT(gfx1200)は対応していますが、第883回で紹介したRyzen AI 9 HX 370(gfx1150)は対応していません(図4)

図4 llama.cppで問い合わせをかけるものの、非対応で落ちているところ

26.04 LTS用7.2.3のパッケージはリリースされていないため、少なくとも現段階ではRyzen AI 9 HX 370上の26.04 LTSでROCmを使用したい場合は、対応バージョンが出るまで待つか開発版の7.13を使用する必要があります。

Radeon RX 9060 XTなど対応したGPUでUbuntuのリポジトリにあるROCmを使用したい場合は、次のコマンドを実行します。

$ sudo usermod -a -G render,video $LOGNAME
$ sudo apt install rocm

インストールが完了したら再起動します。

Blenderを起動すると、きちんとROCmが使用できるようになっていることがわかります(図5)

図5 ROCmのリポジトリを追加しなくてもBlenderでROCmが使用できるようになった

念のため補足しておくと、ROCmのパッケージがインストールできないからといってROCmが使用できないということはありません。ROCmはオープンソースなので、ランタイムを組み込んでバイナリを配布できます。詳細は第905回をご覧ください。

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