Ubuntu Weekly Recipe

第908回Ubuntu 26.04 LTSの変更点 [25.10→26.04 LTS編]

4月23日にリリースされる予定のUbuntu 26.04 LTS。今回は、25.10からの特徴的な変更点をお知らせします。

Ubuntu 26.04 LTS Resolute Racoon

Ubuntu 26.04 LTSは翌日4月23日がリリース予定日です。コードネームは「⁠決然としたアライグマ」です(図1)

図1 Ubuntu 26.04 LTSのデフォルトデスクトップ

アライグマは特段珍しい動物でもないので、よくも悪くも特筆すべきことはありません。

25.10からの変更点はかなり多いので、重要と思われる点のみ紹介します。

リリースノート

26.04 LTSをインストールする前に、必ずリリースノートに目を通してください。リリースノートはすでに公開されています。日本語訳などの詳細な情報はリリース後に公開される(予定の)Ubuntu Weekly Topicsに掲載されます。

GNOME 50 “Tokyo”

コードネーム

GNOMEの各リリースにもコードネームがあり、直近でイベントが行なわれた都市から取られています。第894回でも紹介したように昨年12月にGNOME Asia Summit 2025が行なわれたため、50のコードネームは⁠Tokyo⁠です。キリのいいバージョン、身近な都市がコードネームということで、なんだか嬉しい気持ちです。

コンポーネントのバージョンと変化

いつものようにコンポーネント表を見ていきましょう。

バージョン コンポーネント(パッケージ名)
3.38.x gnome-menus
3.41.x gcr
3.58.x gnome-online-accounts
46.x gnome-disk-utility
47.x gnome-bluetooth-3-common, seahorse
48.x baobab
49.x gnome-font-viewer, gnome-logs, tecla, yelp
50.x adwaita-icon-theme, gdm3, gnome-calculator, gnome-characters, gnome-clocks, gnome-control-center, gnome-initial-setup, gnome-keyring, gnome-remote-desktop, gnome-session-bin, gnome-settings-daemon, gnome-shell, gnome-text-editor, gnome-user-docs, loupe, mutter-common, nautilus, orca, papers, ptyxis, showtime, ubuntu-session-common

ポイントとしては、⁠ビデオ」⁠パッケージ名はtotem)「ビデオプレイヤー」⁠パッケージ名はshowtime)に変更されました(図2)

図2 新しい「ビデオプレイヤー⁠⁠。なんともシンプルなインターフェース

また「システムモニター」⁠パッケージ名はgnome-system-monitor)「Resources」⁠パッケージ名はresources)に変更されました(図3)

図3 新しい「システムモニター⁠⁠。現状正しい値は表示できないものの、NPUという項目もある

同時に「電源の統計」⁠パッケージ名はgnome-power-manager)がインストールされなくなりました。

GNOME Shellの検索機能

GNOME Shellの検索欄からWeb検索とsnapパッケージの検索ができるようになりました(図4)

図4 GNOME ShellからのWeb検索。検証時点ではsnapパッケージの検索は機能せず

かつてのUnityには類似の機能があったので、ベテランのUbuntuユーザーは懐かしいことでしょう。

中クリックによる貼り付けの挙動

筆者として見逃せないのは、マウスの中クリックでクリップボードの中身の貼り付けができなくなったことです。マージリクエストによると、X11を使用したXセッションが利用できなくなったので、X11由来の挙動も削除してしまおうということのようです。たしかにWindowsユーザーにはよくわからない挙動かもしれませんが、四半世紀という単位でこの挙動に慣れ親しんだ筆者にとっては不便極まりないものです。あくまでデフォルトでは無効にしたということであり、以前と同じ挙動に変更できます。これなら筆者としても我慢ができるところです。

端末から変更する場合は次のコマンドを実行してください。

$ gsettings set org.gnome.desktop.interface gtk-enable-primary-paste true

「Tweaks」⁠パッケージ名はgnome-tweaks)をインストールすると、GUIから設定変更できます(図5)

図5 ⁠Tweaks」の設定。これ自体は前からある機能

オンラインアカウントのGoogle連携

オンラインアカウントのGoogle連携ができなくなりました。理由はライブラリ開発者の人手不足ということです。今のところメニューには存在しています(図6)

図6 今のところメニューとしては存在している、Googleのオンラインアカウント

オンラインアカウントは事実上Nextcloud専用機能になったといっても過言ではないでしょう。しかしそれほど悲観する必要もなく、第725回で紹介したようなRcloneとそのGUIフロントエンドを組み合わせれば、Googleを含む多数のクラウドストレージサービスと連携できます。

ソフトウェアとアップデート

長い間親しまれてきた「ソフトウェアとアップデート」がデフォルトではインストールされなくなりました(図7)

図7 26.04 LTSの「ソフトウェアとアップデート⁠⁠。GTK4化されるなど変更点はある

Ubuntu Proに関しては「セキュリティセンター」に移植されましたが、ほかには特に変更はなく、多くの機能は単純に使用できなくなっています。具体的には次の機能が失われました。

  • ミラーサーバーの変更
  • アップデートの実行タイミングの調整
  • LTSから通常のリリース(中間リリース)へのアップグレード
  • 主にNVIDIAドライバーの追加インストール

第898回でも紹介したように現在は日本のミラーサーバーがない状態なので、パッケージのダウンロード速度に不満を持ったとしてもサーバーを簡単に切り替えることができません。NVIDIAのドライバーはわりとこまめにバージョンアップがリリースされていますが、⁠追加のドライバー」⁠ソフトウェアとアップデート」の1機能)がないと簡単に切り替えることができません。

「ソフトウェアとアップデート」がリポジトリから削除されたわけではないので後からインストールできますが、もう少し後釜のことを考えてからでもよかったのではないか、という気はします。事実上なしで運用するのはなかなか難しいです。

パスワードのフィードバック

Ubuntu Weekly Topics 3月6日号でも紹介されているように、sudoでパスワードを入力する際にフィードバックが表示されるようになりました。

フィードバックというのはちょっとわかりにくいですが、要するに何文字入力したかが「*」でわかるという機能です(図8)

図8 これがパスワードのフィードバック

以前の挙動に戻したい場合は、sudo visudoを実行し、Defaults !pwfeedbackを追加してください。

パッケージのアップデート

パッケージのアップデートタイミングが変更されました。

今まではアップデートがあるとその旨を告知し、実行のタイミングはユーザーが任意に決めることができていました。アクティブなウィンドウを奪ってしまうので、例えば文字の入力中だった場合には不都合な挙動です。

しかし26.04 LTSからは原則として自動的にアップデートが適用されます(図9)

図9 アップデートを適用中

任意のタイミングでアップデートを実行したい場合は、⁠アプリセンター」「管理」を使用します(図10)。snapパッケージとまとめて更新できて便利です。

図10 アプリセンターでDebパッケージのアップデートができるように

CUDAとROCmのパッケージ

GPGPUの実行環境であるNVIDIAのCUDAは、古いバージョンだとUbuntuのリポジトリにもありますが、新しいバージョンが必要となった場合はNVIDIAのリポジトリを追加する必要がありました。詳細は第891回をご覧ください。

しかし、この26.04 LTSからはより新しいCUDAのパッケージがUbuntuのリポジトリからインストールできるようになります。Ubuntu Weekly Topics 2025年9月19日号で紹介した合意がようやく履行されることとなりました。

またAMDのROCmに関しても同様で、FFeが必要にはなったものの、Ubuntu Weekly Topics 2025年12月12日号で紹介したように、Ubuntuのリポジトリから取得できるようになります。バージョンはリリース段階で最新安定版の7.2.2ではなく、7.1.1となりそうです。

FDE

FDE(全ディスクの暗号化)は前回第907回で紹介しましたのでそちらを参照ください。

カーネルのバージョン

カーネルのバージョンは7.0となりました。メジャーバージョンアップしたからといってなにか大きな変更があったわけではなく、通常どおりのアップデートリリースです。

最小限スペックの引き上げ

26.04 LTSから最小限スペックが引き上げられました。具体的にはメモリーが4GBから6GBに増えてWindows 11よりも多くなったと一部で話題になりしました。26.04 LTSはTPMやセキュアブート対応がなくてもインストールできるためやや的が外れた批判と言えます。

これはあくまで現在(最低限とはいえ)快適に使用するのであれば6GBは必要であろうという配慮で、ハードウェア的に制限しているわけではありません。事実メモリーが4GBのPCにもインストールはできます(図11)

図11 ⁠メモリ」「4.0GiB」でもインストール自体はできる。快適に使用できるかどうかはまた別

おすすめ記事

記事・ニュース一覧