Ubuntu Weekly Recipe

第909回Ubuntu 26.04 LTSの変更点 [24.04→26.04 LTS編]

4月23日(現地時間)にリリースされたUbuntu 26.04 LTSの、24.04 LTSからの注意すべき変更点をお知らせします。

25.10から26.04 LTSへの変更点については、第908回をご覧ください。

26.04 LTS、無事にリリース

既報のとおり、26.04 LTSはリリースされました。日本時間だと24日午前2時半くらいにリリースアナウンスが出ており、比較的スムーズなリリースだったようです。

ディスク全体暗号化(FDE)を取り上げた第907回で紹介した「セキュリティセンター」は、リリース直前に各言語の翻訳ファイルが取り込まれ、日本語化されました(図1)

図1 予想に反して日本語化された「セキュリティセンター」

あとUbuntu Proの設定ができるようになったものの、snapdのバージョンが古いので有効にできないという不具合があったりとか、細かく見ていくとドタバタではあるのですが。

Ubuntu LTS 20周年

本来は前回掲載すべきことではありますが、分量の関係で今回としました。Ubuntu最初のLTSは6.06だったので、このリリースで20周年となります。バージョン番号からもわかるように、リリースが2か月延びました。今のところは唯一リリースが延びたバージョンです。換言すると、20年間定期的なリリースを続けているということです。

図2「Ubuntu 6.06 LTS 日本語化版」です。手元にisoイメージがあったので、VirtualBoxの仮想マシンとしてインストールしてみました。

図2 Ubuntu 6.06 LTS 日本語化版

この頃はまだ壁紙にマスコットはおらず、イメージカラーも茶色でした。カーネルのバージョンは2.6.15、GNOMEのバージョンは2.14.3、Firefoxのバージョンは1.5、initはSysVinit、インプットメソッドはSCIMでした。

印象的なのは起動の遅さで、今となってはデーモンをパラレルで処理しないとここまで遅くなるのかと驚きます。デーモンをパラレルで処理できるようになるUpstartは、6.10から14.10まで採用されました。

インストーラー

BitLockerで暗号化されたパーティションを認識するようになりました(図3)

図3 インストーラーがBitLockerで暗号化されたパーティションを見つけたところ

誤ってUbuntuをインストールしたくない場合は、BitLockerで暗号化しておけばインストーラーがここで止まってしまうため、上書きを防ぐことができる、とも換言できます。

またUbuntuがあらかじめインストールされている場合、そのパーティションを再利用してインストールできるようにもなりました(図4)

図4 インストールしてあるUbuntuを削除して、新しくインストールできるオプション

インストールするストレージがUbuntu専用の場合は今までのままでよかったのですが、データ用のパーティションがあるような場合には手動でパーティショニングする必要がありました。しかしそれは面倒でそれなりの知識も必要なので、嬉しい変更といえるでしょう。

インストーラーの翻訳も進み、第907回では未訳だった部分も、翻訳が適用されています(図5)

図5 第907回の図2に相当するスクリーンショット

GNOME

GNOMEは24.04 LTSの46から50にアップデートされるので、変更点がすごく多いです。

筆者の独断と偏見でいくつかピックアップすると、⁠リモートデスクトップ」でVNCプロトコルがサポートされなくなり、RDP専用となりました(図6)

図6 VNCを有効にするオプションがなくなった

「任意倍率のスケーリング」オプションは廃止され、代わりに125%や150%などの固定倍率を直接選択できるようになりました(図7)

図7 キャプション

「自動起動するアプリケーション」がなくなり、自動起動したいアプリケーションは「設定⁠⁠-⁠アプリ」の個別のアプリで設定するようになりました(図8)

図8 自動起動をオンオフで設定するようになった

malcontent-guiパッケージをインストールし、管理者権限のないユーザーを作成すれば、ペアレンタルコントロールを設定できるようになりました(図9)

図9 Parental Controlの設定メニュー

このペアレンタルコントロールは使用時間、Webサイトへのアクセス、起動できるアプリケーションがユーザーごとに設定できます。詳しくはガイドをご覧ください。

24.04 LTSの46から50にアップデートされると、使用しているGNOME Shell拡張機能も動かないものがたくさんあります。筆者が実際に24.04 LTSにインストールしている拡張機能を確認してみると、現状26.04 LTSでも動作するものは9つのうち3つだけでした(図10)

図10 筆者が使用しているGNOME Shell拡張機能のGNOME 50対応状況

アプリ

GNOME関連アプリの変更は次の表のとおりです。カッコ内はパッケージ名です。

ジャンル
動画再生 ビデオ(totem) ビデオプレイヤー(showtime)
ドキュメントビューアー ドキュメントビューアー(evince) ドキュメントビューアー(papers)
画像ビューアー 画像ビューアー(eog) 画像ビューアー(loupe)
端末 端末(gnome-terminal) ターミナル(ptyxis)
タスクマネージャー システムモニター(gnome-system-monitor) Resources(resources)

この中で影響が大きいには「ターミナル」でしょう(図11)

図11 ⁠ターミナル」のスクリーンショット

ターミナルについては第903回で詳しく紹介しているので、あらためてお読みください。

従来の「端末」もリポジトリには存在します。インストールすると「Set GNOME Terminal as your default terminal?」⁠端末を既定のターミナルに変更しますか?)という質問が表示されます(図12)⁠Yes」をクリックすると簡単にデフォルトの端末を変更できるので、どうしても慣れることができない場合には検討してみてください。

図12 インストール直後の「端末」上部にメッセージが表示される

rust-coreutils

GNU Core Utilities(以後GNU Coreutils)からuutils coreutils、Ubuntuではrust-coreutilsというパッケージ名ですが、この置き換えが24.04 LTSから26.04 LTSのアップグレードで一番影響が大きい部分でしょう。

もちろん自分で書いたシェルスクリプトなんてない、ということであれば特に影響はないのですが、Ubuntuを使っている限りシェルスクリプトに非互換は発生しないだろうという楽観的な予測の元、大量のシェルスクリプトを書いてしまった場合は検証が大変なことになります。筆者も今後のことを考えるとうんざりします。

GNU Coreutilsもインストールはされていて、例えばls/usr/bin/gnulsとしてインストールされているので、正規表現で一括置換するというのは考えられる手ではあります。可能な限りUbuntuのデフォルトに従うのであれば、動作確認を行ったうえで問題があればuutils coreutilsのバグ報告rust-coreutilsのバグ報告をよく確認し、問題の切り分けを行ってください。

また、いよいよどうしようもなくなれば次のコマンドを実行してGNU Coreutilsに切り替えることもできます。

$ sudo apt install coreutils-from-gnu --allow-remove-essential

ただしこれはこれで現状副作用があるので、最終手段にしたほうがいいようには思います。

アップグレード

LTS間のアップグレードは、最初のポイントリリース後に実行できるようになります。今回は26.04.1 LTSで、リリースは7月を予定しています。

とはいえ、22.04 LTSから24.04 LTSのときには、一旦アップグレードが保留になったこともあり、実際いつからスムーズにアップグレードできるのかはその時になってみないとわかりません。

おそらくですが今回も第830回で紹介したのと同じフローでアップグレードのダイアログが表示されるので、これを気に一度読み返してみるのもいいかもしれません。

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