ハードウェアハッカー ~新しいモノをつくる破壊と創造の冒険

著者
アンドリュー“バニー”ファンアンドリュー“バニー”ファン 著
高須正和たかすまさかず 訳
山形浩生やまがたひろお 監訳
定価
2,618円(本体2,380円+税10%)
発売日
2018.10.19 2018.10.9
判型
A5
頁数
440ページ
ISBN
978-4-297-10106-0 978-4-297-10107-7

概要

エドワード・スノーデン,伊藤穰一(MITメディアラボ所長)ほかテクノロジー業界の著名人の推薦続々!

たった12ドルで携帯電話を作るには?
著作権に違反せずにプロテクトを外すには?
遺伝子をハックするには?

これまでの常識を破壊し,自らの手で新しいものを生み出していくための考え方や仕組みを,世界的なハードウェアハッキングの第一人者が実体験とともに解説。世界のイノベーションの中心地の1つである深圳におけるビジネスの仕組みや知財の考え方,ニセモノ製品の裏側,子供でも作れるシール式電子回路Chibitronicsなど刺激的な話題を凝縮した驚異の書。

こんな方にオススメ

  • 自分の手で成功する製品を作るためにはどういうことが必要なのかを知りたい方
  • これからイノベーターになるためにまず何が必要なのかを知りたい方
  • 社会がイノベーションを育むためには何をしていけばいいのかを知りたい方
  • 中国経済がいま躍進し,日本企業の多くが停滞している理由を知りたい方
  • ハードウェアスタートアップを成功に導きたい方

目次

  • 問題解決をしているすべての人が,この本から多くのことを学べる  高須正和
  • バニーから日本の読者へ
  • まえがき
  • 謝辞
  • 本書のダイジェストと読みどころ

第1部 量産という冒険
第1章 メイド・イン・チャイナ

  • とんでもない電子部品の蚤の市
  • 次世代の技術革新
  • Chumbyと金型工場
    • 深圳のスケール
    • 工場と食事
    • 品質への献身
    • 作り手が,製品の目的を知らない
    • 熟練工たち
    • 工芸職人たちの重要性
    • 組み立ての自動化
    • 精度,射出成形,そして我慢強さ
    • クオリティへの挑戦
  • この章のまとめ

第2章 3つのまったく違った工場の中身

  • Arduinoの生まれるところ
    • まず銅板から始まる
    • PCBパターンを銅板に印刷する
    • PCBをエッチングする
    • ハンダマスクをシルク印刷する
    • 仕上げとテスト
  • USBメモリが生まれるところ
    • USBメモリはチップから始まる
    • チップを手作業でPCB上に置いていく
    • PCBにチップを配線する
    • USBメモリの基板を拡大する
  • 2つのジッパーが教えてくれること
    • 完全に自動化されたプロセス
    • 半自動化にとどまるプロセス
    • 需要と希少性の皮肉

第3章 工場に発注するためのHowTo

  • BOMの作り方
    • 単純な自転車ライトのBOMを作る
    • 部品メーカー指定
    • 抵抗,許容差,電圧定格
    • 部品形状
    • 正確な品番指定
    • レビュー後の自転車ライトBOM
    • 変更をあらかじめ計画しておく
  • 量産設計:量産のための設計最適化
    • なぜ量産設計が必要か?
    • 許容差を考える
    • DFMで歩留まりを上げる
    • 製品の裏にある製品
    • テスト vs. 検証試験
  • インダストリアルデザインにおける,コンセプトと製造のバランスの取り方
    • chumby Oneの仕上げ工程
    • Arduino Unoのシルクスクリーンに見る技
    • 僕のデザインプロセス
  • パートナーを選び,いい関係を築く方法
    • 工場と良い関係を築くためのコツ
    • 見積もりを取るコツ
    • その他さまざまなアドバイス
    • この章のまとめ

第2部 違った考え:中国の知的財産について
第4章 公开イノベーション

  • 僕が電話機の液晶を壊したときに起こった驚くべきこと
  • 山寨とは起業家のことだ
    • だれが山寨なのか?
    • 猿まね以上のもの
    • コミュニティに支えられた知的財産ルール
  • 12ドルの携帯電話
    • 12ドル電話の中身
    • 公开の世界にようこそ
    • 公开をオープンソースに
    • エンジニアにだって権利がある
  • この章のまとめ

第5章 さまざまなニセモノたち

  • 見事な出来の偽造チップ
  • 米軍用ハードウェアでのインチキ部品混入問題
    • インチキ部品を分類する
    • 米軍サプライチェーンの設計とニセモノ
    • 偽造防止手法
  • microSDカードのニセモノ
    • 見た目の違い
    • カードを解析する
    • 正当なmicroSDはどこだ?
    • さらに徹底した解析
    • データを集める
    • 僕が見つけたもの
  • FPGAのニセモノ
    • ホワイトスクリーン問題
    • 不正なIDコード
    • 解決策
    • この章のまとめ

第3部 オープンソースハードウェアと僕
第6章 chumbyの物語

  • ハッカーフレンドリーなプラットフォーム
  • chumbyの進化
    • さらにハックしやすいデバイスに
    • 隠しごとのないハードウェア
  • Chumbyの終わりと新しい冒険の始まり
  • オープンハードウェアの時代はこの後に来る
    • オープンやクローズドの区別はどこから来たか
    • イノベーションするのと,座って待ってるだけのどちらがいいか?
    • ラップトップが家宝になる時代が来る
    • オープンハードウェアのチャンス
  • この章のまとめ

第7章 Novena 自分自身のためのラップトップをつくる

  • 臆病者には向かないマシン
  • Novena初期のデザイン
    • Novenaのフードを開ける
    • 外装ケース
  • 家宝ラップトップのために複合材料を作る
    • Novenaたちが育つ
    • 複合材料
  • 完成に向けて
    • ケース作りと,射出成形で起こる問題
    • フロントベゼルの変更
    • DIYスピーカー
    • 最終版のメインボード
    • 汎用ブレイクアウトボード
    • デスクトップNovenaのための電源パススルー基板
    • バッテリー輸送規定にまつわる問題
    • ハードドライブを選択する
    • ファームウェアを仕上げる
  • コミュニティを築く
  • この章のまとめ

第8章 Chibitronics:サーキットステッカーを作る

  • 電子回路と工作
    • 新しいやり方を構築する
    • 工場を訪ねる
    • プロセス能力試験をする
  • 期日どおりに出荷する
  • 期日どおりに出荷するのがなぜ大事か
  • 今回の教訓
    • 単純に思える要求が,だれにとっても単純とは限らない
    • 決してチェックプロットを飛ばさない
    • 部品配置ミスの可能性は必ず実現してしまう
    • いくつかのコンセプトは中国語に翻訳できない
    • 単一障害点を避ける
    • ギリギリでの変更もときに有意義
    • 旧正月のサプライチェーンへの影響
    • 発送は高額で面倒
    • 出荷するまでは峠を越したとはいえない
  • この章のまとめ

第4部 ハッカーという視点
第9章 ハードウェア・ハッキング

  • PIC18F1320マイコンをハックする
    • ICのカバーを外す
    • チップの構造を読み取る
    • フラッシュメモリを消去する
    • セキュリティビットを消去する
    • ほかのデータを保護する
  • SDカードをハックする
    • SDカードの構造
    • SDカードのマイクロコントローラをリバースエンジニアリングする
    • 潜在的なセキュリティ問題
    • SDカードはホビイストのためのリソースになりえる
  • 保護されたビデオコンテンツに合法的にオーバーレイする
    • NeTV開発の背景
    • NeTVの動作
  • 山寨電話をハックする
    • 山寨電話のシステム設計
    • ブートストラップをリバースエンジニアリングする
    • 橋頭堡を作る
    • デバッガを接続する
    • OSを起動する
    • 新しいツールチェーンを作る
    • Fernvaleの結末
  • この章のまとめ

第10章 生物学とバイオインフォマティクス

  • コンピュータウィルスと豚インフルエンザウィルスを比べる
    • DNAとRNAはビットだ
    • 生物固有のアクセスポート
    • 豚インフルエンザをハックする
    • インフルエンザウィルスの適応メカニズム
    • 一抹の希望
  • スーパーバグをリバースエンジニアリングする
    • O104:H4のDNAシーケンス
    • 生物学のリバースエンジニアリングツール
    • Unixのシェルスクリプトを使って生物学の問題を解く
    • 解けていない問題がまだ多い
  • 遺伝子解析についての神話を打ち壊す
    • 神話:ゲノムを読み出すのは,コンピュータのROMをダンプするようなもの?
    • 神話:病気を予測できるか?
    • 神話:「リファレンスゲノム」は存在するか?
  • ゲノムにパッチを当てる
    • バクテリアの中のCRISPRs
    • DNAカッティングの切断範囲を決める
    • 人間をエンジニアリングすることへの影響
    • 遺伝子ドライブによる進化のハック
  • この章のまとめ

第11章 2本のインタビュー

  • ANDREW“BUNNIE”HUANG:HARDWARE HACKER(CSDN)
    • オープンハードウェアとメイカームーブメント
    • ハードウェアハッカーbunnieについて
  • THE BLUEPRINT TALKS TO ANDREW HUANG
  • エピローグ
  • 監修者解説  山形浩生

プロフィール

アンドリュー“バニー”ファンアンドリュー“バニー”ファン

著者。ハッカー,メイカー,オープンハードウェアアクティビスト。MITにて電気工学のPh.Dを取得。『Hacking the Xbox』著者。ハードウェアスタートアップや雑誌『MAKE』のテクニカルアドバイザーを務める。
Blog:https://www.bunniestudios.com
Twitter:@bunniestudios

高須正和たかすまさかず

翻訳者。日本のDIYカルチャーを海外に伝える『ニコ技輸出プロジェクト』や『ニコ技深圳コミュニティ』の発起人。MakerFaire 深圳(中国),MakerFaire シンガポールなどの運営に携わる。現在,Maker向けツールの開発/販売をしている株式会社スイッチサイエンスのGlobal Business Developmentとして,中国深圳をベースに世界のさまざまなMaker Faireに参加。
著書に『メイカーズのエコシステム』(インプレスR&D),『世界ハッカースペースガイド』(翔泳社),『深圳の歩き方』(マッハ新書),編著に『進化するアカデミア』(イースト・プレス),『ニコニコ学会βを研究してみた』(河出書房新社)など。
Medium:https://medium.com/@tks/
Twitter:@tks

山形浩生やまがたひろお

監訳者。1964年生まれ。小学校1年生の秋から約1年半,父親の海外勤務でアメリカに居住。麻布中学校・高等学校卒業後,東京大学理科Ⅰ類入学。東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻を経て,某調査会社所員となる。1993年からマサチューセッツ工科大学に留学し,マサチューセッツ工科大学不動産センター修士課程を修了。1998年,プロジェクト杉田玄白を創設。
開発コンサルタントとして勤務する傍ら評論活動を行っている。また先鋭的なSFや,前衛文学,経済書や環境問題に関する本の翻訳を多数手がけている。