仕事ごっこ
~その“あたりまえ”,いまどき必要ですか?
- 沢渡あまね 著
- 定価
- 1,408円(本体1,280円+税10%)
- 発売日
- 2019.7.6 2019.7.1
- 判型
- 特殊判型
- 頁数
- 128ページ
- ISBN
- 978-4-297-10621-8 978-4-297-10622-5
サポート情報
概要
昭和の常識、もうおしまい! 累計20万部突破「問題地図」シリーズ著者・沢渡あまねの新境地
「郵送」「印刷して配布」
「とりあえず打ち合わせ」
「手書き」「メールを送ったら電話で確認」「押印」
「メール添付で圧縮してパスワードつけて、パスワードは別送」
「ひたすらテレアポ」「とにかく相見積り、コンペ」
「年末年始の挨拶や表敬訪問」「スーツ&ネクタイ」「ダイバーシティごっこ」
ちょっと待って、それってホントに必要ですか?
仕事のスピードを遅くし、時間をムダにし、成長機会を奪い、社外の人とのコラボレーションを邪魔し、優秀な人を遠ざける慣習やルール――それが、“仕事ごっこ”。
これまでの常識を、シニカルなものがたり+ツッコミで、笑い飛ばしながらアップデート!
こんな方にオススメ
- ムダだらけ・意味不明な慣習やルールに嫌気がさしているすべての方
目次
はじめに
- 私たちは「仕事ごっこ」にまみれている!
- 「仕事ごっこ」は迅速なコラボレーションを阻害する
- こうして、どんどん成長機会が奪われていく
- 仕事は生きもの、だからこそアップデートが必要
第1話 白ヤギさんと黒ヤギさん ~紙の書類のムダ、印刷~押印~郵送のムダ
- トラップだらけ! 紙の作業は悪気なく私たちの邪魔をする
- 「それ、電子で代替できない?」
第2話 わがままなお殿さま ~資料作成のムダ、会議のムダ
- その資料作成、その会議も「仕事ごっこ」かもしれない!
- 情報格差が新たな「仕事ごっこ」を生む
- 「電子が基本、紙はオプション」くらいにスパッと割り切る
- 「所詮社内運動」「資料裁判」「会議裁判」
第3話 兵士不足に悩む王国 ~履歴書や申請書をいちいち手書きさせるムダ
- その書類、わざわざ手書きさせる必要ありますか?
- 手書きを苦手とする人もいる
- ラクをすることは美徳。ITを活用しよう
第4話 残念な桃太郎 ~オープンイノベーションの罪
- 「オープンイノベーションごっこ」の罪
- 本気とスピードで、清く正しいイノベーションを!
第5話 オフィス戦団ビジキュアの憂鬱 ~どうでもいいビジネスマナー
- オフィス戦団ビジキュアが斬る! 残念ビジネスマナー10選
- むしろ、こういう慣習こそビジネスマナー違反!
- アップデートしよう! 時代遅れのビジネスマナーは、組織のブランドイメージを下げる
第6話 お祭り好きな王様 ~モチベーションを上げようとして、かえって下げる悲劇
- モチベーションを上げようとすると、かえって逆効果なことも
- 「無理に上位者が考えない」それもモチベーションマネジメント
- モチベーションを上げようとするより、モチベーションを下げることをやめたほうがいい
第7話 白ヤギさんと黒ヤギさん、ふたたび ~コミュニケーションにいちいち水を差すPPAP
- なぜ、「zipファイル+パスワード別送」がもはやイケていないのか?
- そもそも、セキュリティ対策としてイケているのか?
- むしろ、セキュリティリスクを高める
- PマークやISMS、この手の監査に関係する人たちが趣旨を正しく理解していない可能性も
- いっそのこと、メールをやめるのも一考
第8話 おはなしをきいてもらえない、すずめさん ~いまどきテレアポのみで営業をかける人たち
- 電話で営業、それって「仕事ごっこ」では?
- 「ならばIT導入だ!」いやいや、ちょっと待ってください
- 突然の電話は、相手の時間と集中力を奪う
- 電話が組織内の情報格差を生む
- 電話は同期型のコミュニケーション。非同期型のコミュニケーション手段も活用しよう
第9話 里のかえると都会のキツネ ~相見積もり、コンペ、提案泥棒
- 毎回必ず「相見積もり」、それも立派な「仕事ごっこ」
- 度の過ぎた「相見積もり」や「コンペ」は、自社ファンを失う原因
- それでも「相見積もり」「コンペ」をする場合は、ジェントルに
第10話 忙しそうな、にわとりさん ~年末年始の挨拶や表敬訪問
- 形骸化したやりとりが、相手と自分の時間を奪う
- 「仕事した感」がむなしい「消化試合」を加速させる
- ビジネスと雅、いったん切り離しましょう
第11話 町のどうぶつえん ~ダイバーシティごっこ
- 多様な人たちを“集めただけ”、いつまで続けますか?
- 「私たち、活躍できません!」多様な人たちの活躍を邪魔するモノを排除しよう
第12話 女王アリと働きアリ ~「管理職ごっこ」「管理職ヅラしてマウンティングする人たち」
- 「管理職ごっこ」が、成長したい部下を静かに遠ざける
- モヤモヤが生む不信感
- そもそも「管理」って? 管理職のすべきことって?
- 少しずつでも風穴は開けられる
著者の一言
むかしむかし、あるところに小さな王国がありました。かつてはさかえていたものの、最近ではいきおいがおとろえ、思うようにかせぎをあげられなくなってきました。
ある時、王様は「はたらきかたかいかく」をめいじました。
「いままでのはたらきかたをよくしてほしい。みんなに、いきいきしてほしい」と思ったのです。
またある時は「いのべーしょん」をかかげ、国の民にはっぱをかけます。
ところが、民たちはいっこうにかわろうとしません。それもそのはず。
「だって、そんなことしたってボクたちトクしないし」
「仕事がへるわけじゃないし」
「まっぴらごめんだね。むしろ、よけいな仕事がふえそうだもの」
こうして、いままでのやりかたを続けました。あるものは、せっき時代とかわらない仕事のやりかたを、またあるものは貴族のお作法そのままに、ゆっくりのんびり仕事をしています。
やがて、いしきの高いわかものや、やる気のあるものは、海のむこうにいってしまいました。
いったい、この国はどうなってしまうのでしょうか。
「がーっふぁっふぁっふぁ」
海のむこうの国から、高らかなわらいごえが聞こえてきました。
私たちは「仕事ごっこ」にまみれている!
「働き方改革」「イノベーション」「生産性向上」
ある日突然、上から降ってきたこれらのマネジメントキーワード。政府の仰せのまま? あるいはどこぞの外資系コンサルタントに言われるがまま?
背景はよくわからないものの、とにかく何か考えて、経営層に提案しなければならないらしい。あなたはさっそく、次のような段取りをします。
とりあえず、社内の関係者を集めて、情報共有のための会議をしよう。
↓
まずは、そのための説明資料を作らなければ。
↓
相当な人数になりそうなので、外部の貸し会議室を借りないといけない。
↓
そのための稟議を回覧しないと。
↓
まずは課長のハンコをもらわなくては。
↓
おっと、貸し会議室の提供会社から見積もりをもらわないといけない。
↓
3社から相見積もりをとって、最安値のところから見積もり原本を取り寄せなければ……。
ざっと、1ヶ月……ちょっと待った!
このような、ビジネスの場においてあたりまえとされているけれども、ムダに私たちの足をひっぱる慣習――それが「仕事ごっこ」です。
【仕事ごっこ】
「仕事ごっこ」は迅速なコラボレーションを阻害する
これからの時代、自社単独あるいは自部署だけで問題解決をしたり、新たなビジネスを生むのは難しくなりつつあります。少子高齢化による労働力不足で、社外の力も借りなくてはなりません。コラボレーション、すなわち他との協業こそが組織力の源泉。
これらのパートナーとコラボレーションを迅速にできるかどうか? それが組織の命運を決めます。
あなたたちが「仕事ごっこ」で苦戦している間、競合他社はとっと意思決定し、とっとと決裁しているかもしれません。その結果、よきパートナーとささっとつながり、いちはやく成果を出すことができます。
さて、あなたは意思決定や行動のスピードが速い相手と遅い相手、どちらを信頼できますか? どちらといっしょにお仕事したいですか?
こうして、どんどん成長機会が奪われていく
もう1つ質問です。あなたの(あるいはあなたが所属する組織の)本業は、資料を作ることですか? 会議に参加することですか?
「ごっこ化」した資料作成や会議。いずれも個人と組織の成長機会をやさしく奪っていきます。いつの間にか時代遅れに。
時代遅れになった組織はどうなるか?
コラボレーションしてくれる相手がいなくなります。顧客、取引先、協業先、従業員、株主・投資家……あなたの組織からじわりじわりと遠ざかっていきます。
当然ですよね。成長欲求の高い人(組織)ほど、スピード感があり正しく成長できる組織と(で)仕事をしたい。形骸化した「ごっこ遊び」にまみれている組織は、コラボレーションを遠ざけるのです。
さらに、そこでぬくぬくと育った人の人材価値もどんどん下がります。人生100年時代。60歳で現役引退して、スローライフを送れる時代は過去のものとなりつつあります。「仕事ごっこ」しかできない人が、定年後に雇用延長してもらえるでしょうか? あるいは、故郷に帰って再就職できるでしょうか?
「仕事ごっこ」は、組織の生産性と価値のみならず、個人の“Employability"(雇用されうる能力)をも下げかねないのです。
仕事は生きもの、だからこそアップデートが必要
仕事は生きものです。生まれた当初は意味があった。しかし、時代の変化、法制度の変化、テクノロジーの変化、働く人たちやお客さんの価値観の変化……さまざまな変化の中で、やがて陳腐化し、時代遅れになります。そうして、いつの間にか私たちの足をひっぱる厄介者になってしまっているのです。
仕事は生きもの。だからこそ、いったん立ち止まり、正しくアップデート(最新化)していかなければなりません。
本書では、私たちの日常に潜む「仕事ごっこ」を、「ものがたり」と「解説」の2パートで成敗していきます。私たちの職場の常識、みんなで笑い飛ばしながらアップデートしていきましょう!
すべては、迅速なコラボレーションと未来の私たちの成長のために。