SEの文章術 第二版
システム開発とは文章作成である。
と言ったら過言ですが、それに近いことは言えなくもありません。とくに上流工程においてはそうです。システム提案や要求定義、基本設計の場面において、多くの比重を占めるのは、お客様や同僚とのコミュニケーションです。コミュニケーションの基本手段といえば、会話と文章です。なかでも文章は、会話と違って、その場限りのものではありません。プリントされたり、データ化されたりして、広く長く流通します。ちょっとした間違いやわかりにくさが、思わぬ場所で思わぬトラブルを生むこともしばしばです。
何が言いたいんだかわからない文章を読まされた経験は誰でもあるでしょう。つい「下手くそな文章だな」なんて口走ってお終いにしがちですが、もう少しじっくり考えてみます。下手な文章とは、言い換えれば次のような文章です。
- 書き手の言いたいことが明確でなく、主張が伝わってこない
- 内容の構成や順序が整理されておらず、わかりにくい
- 主張を裏付ける情報がなく、論理的に納得できない
- 難しい用語が定義しないまま使われ、意味がわからない
- 長い文が続くうえ、冗長な言い回しが多く、読みにくい
まとめると、下手な文章とは、読み手からすれば「伝わってこない」「わかりにくい」「納得できない」「読みにくい」文章です。
「伝わってこない」「わかりにくい」の2点は、何のために何を述べるのか(WHAT)。「納得できない」は、述べていることの根拠をいかに示せるか(WHY)。「読みにくい」は、いかに読みやすく表現できるか(HOW)。これらの要件を満たせば下手な文章にはならないわけです。
何のために何を述べるのか(WHAT)とは、言い換えれば目的ということです。文章を書くこと自体は、ただの手段です。文章によって、読み手に何を伝えたいのか。さらにいえば、どう動いてほしいのか。これこそが文章の目的です。たとえば、要件定義書であれば、ユーザーの要件を正しく矛盾なく記録して、次のシステム設計に役立てることが目的です。こうした目的意識を明確にすることが良い文章を書く第一歩です。
「そんなことはわかっているよ」なんて声も聞こえそうですが、ほんとうでしょうか。「上司に言われたから仕方なく」なんていう気持ちで、文章を書いたことはありませんか。また、もし目的意識ははっきりしていても、目的達成にはそれなりの技術が必要です。「一生懸命書いたのに、ちゃんと読んでくれなくて……」。原因は、読み手の意欲不足ではなく、書き手の技術不足かもしれません。
思い当たる節があるという方は、『SEの文章術 第二版』をぜひご一読ください。
SEのスピード発想術
SEの現場では今、スピーディな課題解決スキルが求められている。そのとき、大きな武器となるのが体系的発想法だ。まずは、目的展開やなぜなぜ展開によって、真の目的や根本原因を明確にしよう。そして、40の発明原理、9画面法、究極の理想解などからなる創造性開発手法「TRIZ」(トゥリーズ)を活用し、ブレークスルーできるアイデアをスピーディに生み出そう。
いちばんやさしいネットワークの本
本書はネットワークの教科書ではなく、「攻略本」である。単なる技術解説ではなく、実際の現場でどう役に立つのか、なぜその知識が必要なのか、具体的な観点から「実務で使うためのネットワークの捉え方」を伝授する。実務で活かすための知識を学びたい人、手っ取り早くネットワークを攻略するための視点を養いたい人、既存の教科書本では内容が頭に入ってこなかった人に自信をもっておすすめする。
ビジネスの基本を知っているSEは必ず成功する【第二版】
顧客から信頼され、プロジェクトをスマートに成功させるSEと、仕様変更に振り回されるSEの違いは、仕事に対する考え方にあった!「業務システム開発の目的は、最新技術の適用ではなく、顧客業務の改善である」という哲学に基づき、SEの仕事をあらゆる角度から分析しながら、成功への道すじを示す。初版の内容に加え、SE自身の成長戦略を提案する「人と組織のWin-Winマネジメント」を新たに収録し、ますます充実した第二版。