本年も、OSSコンソーシアム データベース部会のメンバーによる本連載をよろしくお願いいたします。今回はMySQLならびにPostgreSQLの2018年の主なニュースをご紹介してまいります。
[MySQL]2018年12月の主な出来事
2018年12月のMySQLの製品リリースは、MySQL Clusterの管理ツールMySQL Cluster Manager 1.4.7のみでした。2018年はOracle OpenWorld 2018ならびにOracle Code One 2018、db tech showcase 2018やMySQL Innovation Dayなどイベントで、株式会社ロコンド 、株式会社スクウェア・エニックス 、LINE株式会社 、GMOインターネット株式会社 、ミーカンパニー株式会社 など数多くの導入事例が紹介された1年でした。
2018年MySQL重大ニュース
ここでは2018年のMySQLに関する出来事を振り返ってきます。MySQL 8.0のリリースにちなんで8件の出来事を取り上げてみました。
新世代のMySQL Cloud ServiceとMySQL Analytics Serviceのリリースをはじめ、さらに進化を続けるMySQLにぜひご注目ください。
[PostgreSQL]2018年12月の主な出来事
PostgreSQL
2018年11月8日にPostgreSQL 11.1 がリリースされました。また、同時にアップデートも実施され、バージョンはそれぞれ11.1, 10.6, 9.6.11, 9.5.15, 9.4.20, 9.3.25となりました。このリリースでは以下の1つのセキュリティ問題を含む多くのバグの修正が行われています。
CVE-2018-16850 :pg_dumpと pg_upgradeにおけるCREATE TRIGGER…REFFERENCINGにおけるSQLインジェクションの脆弱性
PgpoolAdmin
2018年12月20日にpgpoolAdmin 4.0.1 がリリースされました。このリリースでは以下の1つのセキュリティ問題を含む多くのバグの修正が行われています。
2018年PostgreSQL重大ニュース
ここでは2018年のPostgreSQLに関する出来事を振り返ってきます。
1 PostgreSQL 11リリース
2018年10月18日にPostgreSQL 11.0がリリースされました。このリリースでは以下のような改良が行われました。
パーティショニングの強化
ハッシュパーティショニングの導入
パーティション数増加時の性能面に課題あり。12で改善予定。
ストアドプロシージャ
ユーザ定義関数内で独自のトランザクション管理が可能に
クエリの並列処理
JIT(ジャストインタイム)コンパイラ
分析用途の高性能化を目指すがまだ効果が限定的。今後の進化に期待。
その後、マイナーバージョンアップとして2018年11月8日にPostgreSQL 11.1がリリース されています。
2 Pgpool-II 4.0リリース
2018年10月19日にPgpool-II 4.0.0、pgpoolAdmin 4.0.0がリリースされました。このリリースはPgpool-IIをPostgreSQL 11.0に対応させたもので、以下のような改良が行われました。
不正なプライマリサーバの検出
SQL負荷分散の高度化
PostgreSQL 11のSQLパーサを取込
その後、マイナーバージョンアップとして2018年10月31日にPgpool-II 4.0.1 が、2018年11月22日にPgpool-II 4.0.2 が、2018年12月20日にpgpoolAdmin 4.0.1 が、それぞれリリースされています。
3 PostgreSQL 9.3のEOL
PostgreSQL 9.3はEOLを迎えました。2018年11月にリリースされたPostgreSQL 9.3.25が最終のアップデートとなり、今後はアップデートやセキュリティパッチの提供は行われませんのでご注意ください。
4 東京リージョンでAmazon Aurora with PostgreSQL Compatibility提供開始
2018年2月9日より、Amazon Aurora PostgreSQL-compatible edition が、東京リージョンでも利用可能となりました。通常のPostgreSQLに近いRDS for PostgreSQLと違い、AuroraはAWS前提でアーキテクチャが最適化されクラウド指向なデータベースの1つの実現形態と言えます。
5 Azure Database for PostgreSQLの一般提供開始
2018年4月18日より、Azure Database for PostgreSQL の一般提供が開始されました。Amazon Auroraと違い、PostgreSQLをそのまま使っているようですが、データの冗長化やインスタンスのコンテナ化といった下回りの基盤機能を活かしてダウンタイムなしでのスケートアップ/ダウンを可能にしているのが印象的です。
6 PostgreSQL Conference Japan 2018が開催
2018年11月22日に、PostgreSQL Conference Japan 2018が開催されました。過去のカンファレンスではPostgreSQLの内部構造や機能、チューニングといったDB管理者向けなセッションが目立ちましたが、今回はクラウド上で利用することを想定したセッションが増えました。
7 PGConf ASIAが今年も日本で開催
2018年12月10日~12日の3日間、昨年に引き続き、今年もPGConfASIAが日本で開催されました。
2019年1月開催予定のセミナーやイベント、ユーザ会の活動
日程 2019年1月25日(金) ~6日(土)開催予定
場所 大阪産業創造館
大阪市中央区本町1-4-5
内容 オープンソースのコミュニティや協賛企業、後援団体によるオープンソース関連のセミナーや展示などをお楽しみ頂けます。MySQL Community Teamと日本MySQLユーザ会による講演とブース展示、JPUGによるPostgreSQLに関する講演とブース展示が予定されています。OSSコンソーシアムも講演とブース展示を予定しております(教育ICT部会) 。
主催 オープンソースカンファレンス実行委員会