確実に身につける!メモ術基本レッスン

第9回擬似ユビキタス・キャプチャー

そういえば、今まで何度かユビキタス・キャプチャーという名称を使っていましたが、何のことなのか説明をしていませんでした。詳しくは検索していただくとして、基本的には「日常のありとあらゆることをメモに残してしまおう」という考え方です。片っ端からメモに残して、最終的にそれを何に使うかは、個人の自由です。

すでにユビキタス・キャプチャーを実践している人も数多く見受けられますが、実際にやろうと思ってもなかなかできない、という人も大勢いるようです。難しいのは「何をメモすれば良いのかわからない」という点と、⁠ついついメモするのを忘れてしまう」という点だと思います。

テーマを決めてユビキタス

まずは「何をメモすれば良いのかわからない」という点の解消方法として、当たり前のやり方ですが、とりあえずひとつだけ明確なテーマを決めて、そのことに関しては何でもかんでもメモに残す、というやり方から入ることをお勧めします。

これまでにも何度か「メモの取り方に関してメモしてしまえ」というようなことを書いてきましたが、メモを取る練習、もしくはとっかかりとして、とりあえずそのときに興味のあることにテーマを絞ってメモをするというのは、最初のうちは有効な手段です。

テーマを決める場合に、まず気をつけていただきたいのは、⁠テーマは可能な限り絞りこむ」ということです。

興味があることに絞り込む

たとえば、大雑把に「ブログのネタ」というテーマでは、ブログそのものに明確なテーマがあれば別ですが、そうでなければ何がブログのネタになるのか、自分でも判断がつきにくいと思います。それよりも「メモ術・手帳術」とか「今日食べたもの」⁠思いついたギャグ」など、意識をポイントしやすいテーマの方が扱いやすいでしょう。

「メモ術・手帳術」をメモのテーマにするのは、本末転倒ではないか、という意見もあるかもしれません。もちろん、最後まで「メモ術・手帳術」だけでは、何のためのメモなのかわからなくなってしまいます(メモ術の研究を仕事にしているならまた話は別です)が、とっかかりとしてそのときに一番興味があることというのはテーマの決め方として大事なことです。

もし興味があることがなかったら、⁠何に興味を持てばいいのか」をテーマにしてみてください。とにかく、基本は「今一番頭の中を占めていること」です。ですから、なにもテーマをひとつに絞る必要もありません。2つ、3つと気になることがあるようなら、そのことで目についたこと、耳にしたこと、頭に思い浮かんだことはメモしていくようにすれば良いのです。

ただし、最初のうち、練習としては、あまりたくさんのテーマを設定することはお勧めできません。せいぜい3つか4つが限度でしょう。慣れてきたら、少しずつ増やすようにしてください。

情報は少なくないこと

もうひとつテーマ設定で気をつけていただきたいのは、⁠そのテーマに関する情報が少なくないこと」です。

テーマを決めたのはよいけれど、メモすべき情報にちっとも遭遇しない、ということでは、メモするチャンスがありません。逆に情報が多すぎてメモが追いつかない(そんな状況があるとは思えませんが⁠⁠、ということでも困ります。テーマに関する情報は、多すぎず少なすぎずがベストです。

しかし面白いことに、何かテーマを決めて、それに関してメモを残すぞ、と思ったとたん、意外と多くの情報が入ってくるようになります。自分の意識がそのテーマに向くため、今まで気がつかなかったことに気がつくようになるからかもしれません。

この「テーマを決めてユビキタス・キャプチャー」は、練習として行ってもかまいませんし、実践として行ってもかまいません。とりあえず、今気になっていることは、片っ端からメモしてしまいましょう。

時間を決めてユビキタス

「ついついメモするのを忘れてしまう」という場合の対処方法としては、まずは期間を限定して「さあ、これからユビキタス・キャプチャーをするぞ」と構えておいて、片っ端からメモする練習をしてみる、というやり方があります。実は、第5回に紹介した「CMを見ながらメモを取る」という練習方法は、この「期間限定ユビキタス・キャプチャー」のパターンのひとつなのです。

本来「ユビキタス」とは「いつでもどこでも」といったような意味ですから、時間を限定してしまうやり方をユビキタスを呼んでいいものかどうか、判断がつきかねるところですが、そこはそれ「いつかは本当のユビキタス」を目指しての練習ということで、⁠期間限定ユビキタス・キャプチャー」と呼んでしまいましょう。

最初は短めに

最初のうちは、CMを使った練習のように、時間は短い方がやりやすいでしょう。

ただし、家の中でボ~ッとした状態で「さあ、ユビキタス・キャプチャーするぞ」と思っても、なかなかできるものではありません。そこで、期間限定ユビキタス・キャプチャーの場合、散歩をしながら行うのが良いでしょう。

30分なら30分と時間を決めて、メモツールを手に持って散歩をしてみてください。この時、たとえカバンを持っていたとしても、できればメモツールは手に持って散歩をするようにしてください。なにしろ、散歩をするのが目的なのではなく、メモを取るのを目的として散歩をするわけですから、メインはメモツールです。

散歩をしながら、目にしたこと、耳にしたこと、思いついたことを、片っ端からメモしてください。

少し慣れてきたら、少しずつ時間を延ばしてみたり、散歩という状況を作らず、普通の生活の中で「よし、今からユビキタス」と自分に宣言して、そこから練習を開始します。

練習を開始した場合、まずは"メモ帳"を開いて、⁠xx時xx分 ユビキタス・キャプチャー開始」とでもメモしてください。そして、とにかく片っ端からメモを残して、⁠もうそろそろしんどいかも」と思ったら"メモ帳"に「xx時xx分 ユビキタス・キャプチャー終了」と書きます。

この間にどれだけメモを残せるかが練習です。もし可能なようならば、最初にメモする目標件数を設定して、それを目指してメモしてみる、という練習もあるでしょう。

最終的な目標は、丸一日練習に費やす、という状況です。

休日限定ユビキタス

丸一日練習に費やす、といっても、平日仕事をしながら、というのは大変でしょうから、休日の朝一番から夜寝るまでの一日を、ユビキタス・キャプチャーの練習をしながら生活する、というのが最初の目標です。

この「休日限定ユビキタス・キャプチャー」の練習をする場合も、前回同様専用の"メモ帳"を一冊用意してください。例によって薄手の小ぶりな"メモ帳"です。目標としては、一日でノートを使い切る感覚です。薄手の小ぶりなノートなら、1ページ1件で書いていけば、一日で使い切ることも不可能ではありません。

一日では長いと感じる人は、とりあえず専用の"メモ帳"を用意して、三十分なり一時間なり散歩に出て、そこで目についたこと、思いついたことをメモに残していくのです。このやり方ならば、最初と最後に必ず日付と時間を書いてしまえば、その間は面倒な日付時刻を書く必要もありません。それを何回か繰り返して、一日でも早く"メモ帳"を使い切ることを目標にしてください。

この「期間限定ユビキタス」と、先に紹介した「テーマ限定ユビキタス」を混ぜても、もちろんかまいません。時間とテーマを限定して、ユビキタス・キャプチャーの練習を繰り返してみてください。

書いたら必ず読み返す

ユビキタス・キャプチャーを継続しようとしたときの一番の難所は、⁠これは本当に何かの役に立つのだろうか?」と考えてしまうことです。こう考えてしまうのは、書いたら書きっぱなしにしてしまうからです。第7回でも紹介したように「メモは読まれてはじめてメモになる」のです。書いたメモは必ず読み返してください。

一番簡単な読み返し方は、第7回でも紹介しましたが、メモを取ったらふたつ三つ前に戻って読み返してみることです。そのためにも、くどいようですが、練習のうちはバラバラにならない"メモ帳"を使ってください。

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