『情報処理技術者試験シリーズ』
フェイクニュースというと大げさですが、情報処理試験が近くなってくると散見される定番のうわさがあります。果たして信じていいのでしょうか?
「空欄はウで埋めろ」って本当?
情報処理試験の午前問題は四肢択一で、アイウエの中から一つ選ぶ方式になっています。ネットでよく見かけるのが、情報処理試験の正解は「ウ」が一番多いから、わからなかったら「ウ」で埋めろというものです。これが本当なのか調べてみました。
ここ数年の基本情報技術者の問題だと、表1のようにウが一番多いとは言えません。それどころか、エが1番多い期が7回中5回もありました。
表1 基本情報技術者試験の選択肢別の正解数
| 1位の回数 | H30秋 | H30春 | H29秋 | H29春 | H28秋 | H28春 | H27秋 | 合計 |
ア | 2 | 19 | 18 | 12 | 16 | 23 | 17 | 22 | 127 |
イ | 1 | 18 | 19 | 17 | 23 | 16 | 21 | 18 | 132 |
ウ | 2 | 15 | 12 | 14 | 25 | 17 | 26 | 18 | 127 |
エ | 5 | 19 | 19 | 25 | 16 | 24 | 16 | 22 | 141 |
「それなら、エで埋めればいいんだ!」というわけでもありません。エが多いといっても、同率首位のときが3回もあります。また、一見「イ」が1位のときが少ないようでも、7回を通した合計だとイは2番目に多かったりします。だんだん混乱してきますね。
そもそも、アイウエの選択肢の順番はどうやって決まっているのかご存知でしょうか。実は、単純に選択肢の冒頭の文字の50音順や英数字の昇順になっているのです。もし参考書や問題集をお持ちでしたら、確かめてみてください。
さらに、問題を作る立場で考えてみましょう。選択問題を作成するときは、正解の選択肢、似ているが誤答の選択肢、勘違いした結果たどりつく選択肢などを考えてから、50音順や英数の昇順に並べます。そこに特定の選択肢が多くなる必然性はありません。
ただ、例えば「アが正解の問題が1個しかない」ような極端なバランスになる事態は避けたいので、選択肢の文言や数値を変えて正解の選択肢を調整するということはあるかもしれません。でも、これは特定の選択肢を一番多くしようという動機にはなりません。
というわけで、「空欄はウで埋めろ」には根拠がありません。まったく歯が立たない問題に何か記入しておけばまぐれで当たるかもしれませんが、それはウである必要はなく、なんでもいいのです。
「午後問題は設問から読め」って本当?
ついでにもう一つ。午後問題では長文のケーススタディが出題されますが、長い問題文を読むよりも、先に設問を読んでから、答えになりそうなところを問題文で探すほうが効率がいいという説があります。
しかし、小説でもニュースの記事でも、頭から順番に読むのが普通です。問題文も、頭から順番に読まれることを想定して書いてあります。問題文より先に設問から読むと、結局問題文と設問を何度も往復することになり、かえって効率が悪くなります。問題文の重要そうなところに印をつけながら順番に読んでいくのが、結局は効率の良い方法です。
情報処理試験が人気なのは本当!
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