アナログツールについての連載は今回で終わりです。
最後に筆者の現在のアナログツールの実践状況を説明し、またこれがなければ連載を続けられなかったであろう、ザウルスSL-C1000について触れようと思います。
Hipster PDA+トラベラーズノート~平日仕事モード
平日は仕事モードで、きっちりしたシステムが必要です。というわけで、筆者はスケジュール管理+GTD+ユビキタス・キャプチャーを実践しています。
アナログツールとしては、Hipster PDAでシンプルなGTD(ZTD)をやり、トラベラーズノートで、スケジュール管理とユビキタス・キャプチャーをやっています。
職場に着くとまずパソコンの電源を入れます。パソコンが起動している間に、トラベラーズノートで今日のスケジュールを確認します。次に、Hipster PDAで、プロジェクトやNext Actionを確認します。その頃にはパソコンも立ち上がっていますので、それからOutlookを起動して業務を開始する、といった流れになっています。
第6回のトラベラーズノートのところで説明しましたが、仕事中はユビキタス・キャプチャーのためのセクションリフィルが机上にあります。仕事以外で思いついたことは、ここに書き込んでおきます。席を離れた時は、Hipster PDAにメモします。
帰宅すれば、「□i」とセクションリフィルに記載されたことや、重要なメモをモレスキンに転記します。その作業が一日を振り返る儀式にもなっています。
この作業があるため、日記はほとんど書かなくなりました。
モレスキンのみ~休日私的モード
一方、休日はGTD(ZTD)のこともあまり考えず、ゆったりしたいところです。そこで使うアナログツールは、モレスキンのみとなっています。
モレスキンでユビキタス・キャプチャーをやりつつ、やること=ToDo=タスクもどんどん書き込んでいきます。タスクには、頭にチェックボックス(□)をつけておけば、ユビキタス・キャプチャーのメモと区別できるでしょう。
外出する際は、モレスキンを服のポケットに入れていきます。ペンはジーンズの腰にぶら下げたペンポッドを使います。
また、必要になりそうな買い物リストなどは、あらかじめHipster PDAからモレスキンへ転記しておきます。
休日の終わりには、□にチェックが入らなかったタスクを、必要があればHipster PDAへ転記します。
そしてまた、Hipster PDA+トラベラーズノートの平日が始まる、といった流れです。
以上のフローは、ここ数カ月安定しています。
また、色々魅力的なアナログツールを見ると迷いが生じますので、最近はあまり文房具屋などに足を運ばないようにしています。物欲を抑え、自分のシステムを安定させるには、インプットされる情報をコントロールすることが有効、という考えからです。
アナログツールだけじゃない~ザウルスSL-C1000
この連載では、もっぱらアナログツールについて語ってきましたが、実はもっとも使ったツールは、PDAのザウルスSL-C1000です。第1回でも触れましたが、最後にもぜひザウルスについては述べておきたいところです。
まず、連載の話が来たのは、ザウルスで更新しているブログがあったからです。技術評論社の担当の方とのやり取りもザウルスからのメールです。
原稿も、ザウルスにインストールした、ZEditorというテキストエディタで書いています。参考にするWebページも、ザウルスのブラウザ、NetFrontで見ています。
つまり、パソコンをわざわざ起動しなくても、机に座らなくても、必要な情報を集めたり、原稿を作ったりできるのです。
いつでもどこでもザウルス、ということで、そのモバイル性が私を大いに助けてくれました。
- ザウルスの特徴
- ノートパソコンに比べて圧倒的に軽い 約278g
- ノートパソコンに比べて圧倒的に起動が速い
- クラムシェルと呼ばれる形状から、机上に置いた状態でキーボードを打つことができる
- メールもウェブ閲覧も一通り可能(bitWarp PDAを利用)
フルタイムの仕事をしている筆者は、バスの待ち時間、昼休み、帰宅途中のスターバックスコーヒーなど、すきま時間を活用して原稿を作ってきました。特に、バスの待ち時間に思いついたことを文章に落とすことができるのは、ノートパソコンではなく、起動時間が数秒で、手に持ったまま文章が打てるザウルスだったからです。
また、もっとも原稿作成に時間を費やしたと思われるスターバックスでも、今ある多くのスマートフォンと違って、机上に置いた形でキーボードを打つことができるザウルスSL-C1000は、非常に有効でした。
加えて、カフェなどのパブリックな空間においては、ザウルスだと、ノートパソコンで作業するほどの圧迫感を周囲に与えないのも気楽です。
結論~好きなアナログツールをシンプルに使おう
さて、ザウルスについて触れるという義理も果たしましたので、連載のまとめというか、結論を書こうと思ったのですが、いくら考えても実際そんなものはでてきません。これからも色んなアナログツールに手を出して、筆者のシステムも変化していくからです。
そんな中でひとつ言えることは、好きなアナログツールを使おう、ということです。
毎日使うためには、気に入ったツールが一番です。また好きなツールでないと、GTDやユビキタス・キャプチャーといった習慣も長続きしないでしょう。
筆者が、この連載で紹介したHipster PDA、モレスキン、トラベラーズノートといったツールを長く使っているのも、その手触りというか、textreを気にいっているからです。ですから、これらのツールがみなさんに合うとは限らないと思います。それぞれが自分のお気に入りをみつける必要があるでしょう。
そして、お気に入りのツールをみつけるには、ある程度投資が必要です。とはいえ、私が紹介してきたHipster PDA用の情報カード、モレスキン、トラベラーズノートなどは、せいぜい数千円もかければ十分です。
ライフハックを趣味として考えれば、文房具などのツールへの投資は、たとえば妻に許してもらえる範囲ではないでしょうか。ゴルフなどに比べればお金も使いませんし、もちろんライフハックというのは仕事に役立ちます。
また、筆者のタスク管理システムのメインに採用しているGTD(ZTD)という方法が、ツールを選ばないということも大きな点です。各自好きなツールを使うことができるのです。この点、やはりGTDと出会ったことが、私をアナログツールでのライフハックに目覚めさせた、と言えるかもしれません。
ひとつといいながらもう一点、筆者はできる限りシンプルなシステムを心掛けています。これは、新しいツールを見つけると使ってみたくなり、自然と使うツールが増えていくことで、システムが複雑になってしまう自分に対する戒めのようなものです。
システムがシンプルでないと、結局ツールを使いこなすことに追われ、ストレスフリーも何もなくなってしまうでしょう。
このような理由もあって筆者の場合、GTDはシンプルにHipster PDAで実践し、第5回で説明したモレスキン・メモポケッツは現在使用していません。また、試してみたRemember The Milkやcheck*pad、GTD Style WikiといったGTDに使えるデジタルツールも、GTD用としては使わなくなっています。
使うツールはできる限り少ない方がいい、と私は考えていますがいかがでしょうか。
それをこの連載の結論のひとつとして終わります。
最後になりましたが、連載の話をいただいた技術評論社、および担当者の方々と、自分の世界にはない言葉ばかりの原稿を読んでくれた妻と、連載を読んでいただいた読者のみなさんに感謝して終わりたいと思います。
ありがとうございました。